学習トップ理由で解く 柔道整復師リハビリテーション医学 ▸ §5 リハビリテーションの治療 / QJ34P019

理由で解く 柔道整復師

QJ34P019 リハビリテーション医学

出典:第34回柔道整復師国家試験(2026)午後 問19
問題
創傷治癒促進を目的とした治療的電気刺激はどれか。
選択肢
1 干渉波電流
2 微弱電流刺激
3 ロシアンカレント
4 高電圧パルス電流
解答
正解2(微弱電流刺激)
解説

創傷治癒の促進を目的として設計された治療的電気刺激は微弱電流刺激(MENS)です。よって2が該当します。

皮膚や組織が傷つくと、損傷部と健常部の間に損傷電流(current of injury)と呼ばれる微小な電位差が生じ、これが細胞の遊走や増殖を導く道しるべになります。微弱電流刺激は、この生体内の電流に近いマイクロアンペア(μA)オーダーという極めて弱い刺激を与えて、治癒の流れを後押しする方法です。ATPの産生やタンパク合成、細胞膜での物質輸送が促されるとされ、創傷のほか骨折や軟部組織損傷の治癒促進、疼痛緩和に用いられます。刺激強度が知覚閾値以下のため患者はほとんど何も感じず、筋収縮も起こらないのが大きな特徴です。他の3つはいずれもミリアンペア(mA)オーダーの刺激で、狙いは鎮痛か筋収縮の誘発です。なお高電圧パルス電流(HVPC)は単相性で極性をもつため臨床では慢性創傷にも応用されますが、本問が問うているのは「創傷治癒促進を主目的として設計された刺激」であり、電流の桁と設計思想(治癒促進か、鎮痛か、筋収縮か)をセットで押さえれば微弱電流刺激に絞り込めます。

✓ 2. 正しい
微弱電流刺激
μAオーダーの極微弱な電流で、生体が本来もつ損傷電流を補うという発想の治療です。知覚閾値以下で刺激感がなく、創傷や骨折、軟部組織損傷の治癒促進を目的として使われます。
✗ 1. 該当しない
干渉波電流
周波数がわずかに異なる2つの中周波電流を体内で交差させ、そこに生じる低周波のうなりを利用します。皮膚の刺激感が少なく深部に届くのが利点で、目的は鎮痛と筋収縮の誘発です。
✗ 3. 該当しない
ロシアンカレント
2500Hz前後の中周波をバースト状に変調した刺激で、痛みを抑えつつ強い筋収縮を引き出せます。目的は筋力増強と廃用性筋萎縮の予防です。
✗ 4. 該当しない
高電圧パルス電流
100Vを超える高電圧を、パルス幅が極めて短い単相性の双峰性パルス(twin-peak monophasic pulse)として与える方法です。単相性のため極性をもち、電圧は高くても1パルスあたりの通電時間が短いため総電荷量は小さくなります。主な目的は疼痛緩和・浮腫の軽減・筋収縮の誘発です。なおHVPCは極性をもつことから、臨床では褥瘡や糖尿病性潰瘍などの慢性創傷の治癒促進にも用いられます。ただし本問が問う「創傷治癒促進を主目的として設計された微弱刺激」という枠組みでは、生体の損傷電流に近いμAオーダーの微弱電流刺激が正答となります。
ポイント
  • 創傷治癒促進の代表は微弱電流刺激(MENS)。μAオーダーで知覚閾値以下、患者は刺激を感じない。
  • 理屈は損傷電流の補強。ATP産生・タンパク合成・細胞膜輸送を促し、骨折や軟部組織損傷の治癒にも用いる。
  • 干渉波電流=中周波の交差でうなりを作り、深部の鎮痛。
  • ロシアンカレント=2500Hz前後のバースト変調で、強い筋収縮による筋力増強。
  • 高電圧パルス電流(HVPC)=高電圧・パルス幅が極めて短い単相性の双峰性(twin-peak)パルス。主目的は疼痛緩和と浮腫軽減。
  • HVPCは単相性で極性をもつため慢性創傷の治癒促進にも応用されるが、「創傷治癒を目的に設計された微弱刺激」を問われたら微弱電流刺激を選ぶ。「双極性(biphasic)」ではなく「双峰性(twin-peak)」である点に注意。
比較表
刺激の種類電流の大きさ・特徴主な目的
微弱電流刺激(MENS)μAオーダー、知覚閾値以下で感じない、筋収縮も起こらない創傷・骨折・軟部組織損傷の治癒促進、疼痛緩和
干渉波電流周波数の異なる中周波を交差させ、体内で低周波のうなりを発生鎮痛、筋収縮誘発(深部に届きやすい)
ロシアンカレント2500Hz前後の中周波をバースト変調筋力増強、廃用性筋萎縮の予防
高電圧パルス電流(HVPC)高電圧・パルス幅が極めて短い単相性の双峰性(twin-peak)パルス。単相性ゆえ極性をもつ疼痛緩和、浮腫軽減、筋収縮誘発(極性を利用して慢性創傷の治癒促進にも応用)
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