学習トップ理由で解く 柔道整復師リハビリテーション医学 ▸ §3 リハビリテーション医学の基礎医学 / QJ34P017

理由で解く 柔道整復師

QJ34P017 リハビリテーション医学

出典:第34回柔道整復師国家試験(2026)午後 問17
問題
下位運動ニューロン障害の特徴はどれか。
選択肢
1 筋萎縮は軽微である。
2 腱反射は亢進する。
3 筋トーヌスは増強する。
4 病的反射は出現しない。
解答
正解4(病的反射は出現しない。)
解説

下位運動ニューロン障害は弛緩性麻痺を起こします。筋は著しくやせ、腱反射は落ち、筋トーヌスは低下し、病的反射は出現しません。よって4が正しい記述です。

随意運動の指令は、大脳皮質から脊髄へ下る上位運動ニューロンと、脊髄前角細胞(あるいは脳幹の脳神経運動核)から末梢神経を経て筋に至る下位運動ニューロンの二段構えで伝わります。下位運動ニューロンは筋への最終共通路であり、ここが障害されると筋は収縮の機会と神経からの栄養的支配を同時に失うため、早い時期から目に見える高度な筋萎縮と、線維束性収縮(筋のぴくつき)が現れます。腱反射の反射弓(求心路→脊髄→遠心路)の遠心路はまさに下位運動ニューロンなので、反射そのものが成立せず減弱から消失に至り、筋トーヌスも低下して弛緩性麻痺となります。一方、バビンスキー徴候などの病的反射は、上位運動ニューロンによる抑制が外れたときに現れる現象ですから、下位運動ニューロン障害では出現しません。「下位は全部下がる(萎縮は進むが、反射・トーヌス・病的反射は下がる/出ない)」とまとめると、末梢神経損傷や神経根症を扱う臨床でもそのまま使えます。

✓ 4. 正しい
病的反射は出現しない。
病的反射は上位運動ニューロンの抑制が失われたときに出現する徴候なので、下位運動ニューロン障害では認めません。逆にバビンスキー徴候が陽性なら上位運動ニューロン障害を疑う、という使い方をします。
✗ 1. 誤り
筋萎縮は軽微である。
下位運動ニューロン障害では神経支配を失った筋が急速にやせるため、筋萎縮は高度で早期に現れます。軽微で、しかも使わないことによる二次的なもの(廃用性)として遅れて出るのは上位運動ニューロン障害のほうです。
✗ 2. 誤り
腱反射は亢進する。
反射弓の遠心路が断たれるため、腱反射は減弱ないし消失します。亢進するのは上位運動ニューロン障害で、抑制が外れて反射が過剰になった状態です。
✗ 3. 誤り
筋トーヌスは増強する。
筋トーヌスは低下し、いわゆる弛緩性麻痺になります。増強(痙縮)は上位運動ニューロン障害の特徴で、他動運動の速度に依存した折りたたみナイフ現象がみられます。
ポイント
  • 下位運動ニューロン=脊髄前角細胞・脳神経運動核から末梢神経を経て筋に至る最終共通路
  • 下位障害の四点セット:弛緩性麻痺・高度な筋萎縮・腱反射消失・病的反射なし。線維束性収縮も特徴。
  • 上位障害は逆に、痙縮・腱反射亢進・病的反射陽性・筋萎縮は軽度(廃用性)。
  • 病的反射は「上位の抑制が外れたサイン」と理解すると、下位で出ない理由が腑に落ちる。
  • 代表疾患:下位=末梢神経損傷、神経根症、ポリオ。上位=脳卒中、脊髄損傷。ALSは両方が同時に侵される。
比較表
項目上位運動ニューロン障害下位運動ニューロン障害
障害部位大脳皮質運動野〜錐体路(脊髄まで)脊髄前角細胞・脳神経運動核〜末梢神経
麻痺の型痙性麻痺弛緩性麻痺
筋萎縮軽度(廃用性、遅れて出現)高度・早期
線維束性収縮なしあり
腱反射亢進減弱〜消失
筋トーヌス増強(折りたたみナイフ現象)低下
病的反射出現する(バビンスキー徴候など)出現しない
代表疾患脳卒中、脊髄損傷末梢神経損傷、神経根症、ポリオ
この問題の解説の修正を依頼する

解説に誤り・改善点があればお知らせください。件名と本文は自動入力済みです(編集できます)。お名前・メールアドレスは任意です。送信内容は玄康株式会社(黒澤一弘)に届きます。