学習トップ理由で解く 柔道整復師リハビリテーション医学 ▸ §3 リハビリテーション医学の基礎医学 / QJ34P016

理由で解く 柔道整復師

QJ34P016 リハビリテーション医学

出典:第34回柔道整復師国家試験(2026)午後 問16
問題
心理的防衛機制で否認はどれか。
選択肢
1 衝動や葛藤を無意識的に押さえ込む。
2 現実的状況を無意識的に認めまいとする。
3 ある対象に向けられた感情とは正反対の感情や振舞いを無意識に行う。
4 ストレスに遭遇したりその状況が長く続くと、それ以前の発達段階に戻って自我を守る。
解答
正解2(現実的状況を無意識的に認めまいとする。)
解説

否認は、受け入れがたい現実そのものを「無かったこと」にして不安から自我を守る防衛機制です。現実的状況を無意識的に認めまいとする2が該当します。

防衛機制は、耐えがたい不安に自我が押し潰されないように無意識に働く心のはたらきで、S.フロイト(ジークムント・フロイト)が概念を提唱し、娘のA.フロイト(アンナ・フロイト)が『自我と防衛機制』(1936年)で否認・抑圧・反動形成・退行などを分類・体系化しました。リハビリテーションの現場では障害受容の過程で顕著に現れ、一般にショック期→否認期→混乱期(怒り・悲嘆)→解決への努力期→受容期という経過をたどります。否認期には「検査が間違っている」「すぐ元どおりになる」といった言葉が聞かれますが、これは脳損傷そのもので自分の障害に気づけない病態失認(病識の欠如)とは別物です。否認は、認めた瞬間に心が壊れてしまわないよう時間を稼ぐ働きをもつため、頭ごなしに現実を突きつけるやり方はかえって混乱を長引かせます。安全な関係を保ちながら本人のペースに合わせ、達成できる課題で成功体験を重ね、必要な情報を段階的に伝えていくのが実際的な関わり方です。

✓ 2. 正しい
現実的状況を無意識的に認めまいとする。
否認の定義そのものです。対象は自分の外側にある現実(診断・後遺症・喪失)で、それを認めないことで不安を回避します。障害受容の否認期でよく見られる反応です。
✗ 1. 該当しない
衝動や葛藤を無意識的に押さえ込む。
抑圧の説明です。最も基本的な防衛機制で、否認が「外の現実」を認めないのに対し、抑圧は「内側の衝動や記憶」を意識から締め出す点が違います。
✗ 3. 該当しない
ある対象に向けられた感情とは正反対の感情や振舞いを無意識に行う。
反動形成の説明です。嫌悪している相手にことさら丁寧に接するなど、本心と逆の態度をとることで受け入れがたい感情を封じます。
✗ 4. 該当しない
ストレスに遭遇したりその状況が長く続くと、それ以前の発達段階に戻って自我を守る。
退行の説明です。入院や長期の療養で依存的・幼児的な言動が増えるのが典型で、心が幼い時期の安心できた状態に戻ることで身を守ります。
ポイント
  • 否認=外側の現実を認めない。抑圧=内側の衝動・記憶を押し込める。ここが最頻出の対比。
  • 人物の対比も頻出。提唱=S.フロイト、分類・体系化=A.フロイト(アンナ・フロイト、『自我と防衛機制』1936年)
  • 障害受容の経過はショック期→否認期→混乱期→解決への努力期→受容期。
  • 否認は心を守る働き。現実を突きつけるのではなく、安全な関係と成功体験、段階的な情報提供で支える。
  • 心理的な否認と、脳損傷による病識の欠如(病態失認)は原因が別物なので区別する。
  • その他の頻出:反動形成(正反対の態度)、退行(発達段階が戻る)、合理化(もっともらしい理由づけ)、投影(自分の感情を相手のものとみなす)。
比較表
防衛機制内容
否認受け入れがたい外界の現実を認めない後遺症を告げられても「すぐ元に戻る」と信じる
抑圧受け入れがたい衝動や記憶を意識から締め出すつらい出来事を思い出せない
反動形成本心と正反対の態度をとる嫌いな相手にことさら丁寧に接する
退行以前の発達段階に戻る入院後に依存的・幼児的になる
合理化もっともらしい理由をつけて正当化する「どうせやりたくなかった」
投影自分の感情を相手のものとみなす「あの人が私を嫌っている」
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