学習トップ理由で解く 柔道整復師リハビリテーション医学 ▸ §3 リハビリテーション医学の基礎医学 / QJ32P017

理由で解く 柔道整復師

QJ32P017 リハビリテーション医学

出典:第32回柔道整復師国家試験(2024)午後 問17
問題
有酸素運動が主体なのはどれか。
選択肢
1 重量挙げ
2 腕立て伏せ
3 サイクリング
4 100m 全力疾走
解答
正解3(サイクリング)
解説

有酸素運動とは、酸素の供給が需要に追いつく強度で長く続けられる運動です。4つのうちサイクリングだけがこれに当たります。

骨格筋のエネルギー供給は3系統に分かれます。ATP-CP系(非乳酸性機構)はクレアチンリン酸を使って数秒から10秒程度の最大努力をまかない、解糖系(乳酸性機構)はグルコースを乳酸まで分解して30秒から数分の高強度運動を支えます。この2つは酸素を用いないので無酸素性の供給です。それ以降を担うのが有酸素系で、ミトコンドリアでの酸化的リン酸化により糖と脂肪を完全に分解して大量のATPを長時間産生します。したがって「強度が高く短時間なら無酸素、強度が中等度以下で長時間なら有酸素」と、強度と時間の組合せで判断できます。有酸素運動は遅筋(Type I線維)を主体に動員し、最大酸素摂取量を高め、血圧・血糖・脂質の改善をもたらすため生活習慣病に対する運動療法の中心に据えられます。処方の目安は最大酸素摂取量の40〜60%程度、自覚的運動強度(Borgスケール)で11〜13の「楽である」から「ややきつい」、1回20〜60分を週3〜5回で、大きな筋群をリズミカルに使う全身運動が適します。

✗ 1. 該当しない
重量挙げ
数秒間の最大努力で、ATP-CP系による典型的な無酸素運動です。速筋(Type II線維)を主体に動員するレジスタンス運動に分類され、息をこらえる(Valsalva効果)ことで血圧が急上昇しやすいため、高血圧や心疾患のある人では強度と呼吸法に配慮が要ります。
✗ 2. 該当しない
腕立て伏せ
自分の体重を負荷とするレジスタンス(筋力)運動です。上肢と体幹の限られた筋群に強い張力をかけて筋力・筋肥大を狙うもので、全身の酸素摂取量を長時間高めるものではありません。有酸素運動と組み合わせて処方する位置づけです。
✓ 3. 正しい
サイクリング
下肢の大きな筋群をリズミカルに使い、中等度の強度で長時間続けられるため、有酸素系が主体となります。ペダルの負荷で強度を細かく設定でき、自転車エルゴメータとして運動負荷試験や運動処方にも使われます。サドルが体重を支えるので膝関節への荷重が少なく、変形性膝関節症や肥満のある人にも勧めやすい種目です。
✗ 4. 該当しない
100m 全力疾走
10秒前後の最大強度運動で、ATP-CP系と解糖系がエネルギーを供給する無酸素運動です。運動中は酸素供給が需要に追いつかず、終了後に酸素借を返済する形で呼吸が高まります。同じ走る運動でも、ゆっくり長く走るジョギングになれば有酸素運動になる点が対比として重要です。
ポイント
  • 有酸素運動=中等度以下の強度で長時間持続でき、酸化的リン酸化でATPを供給する運動
  • 代表例:ウォーキング、ジョギング、サイクリング、水泳、エアロビクス(大筋群をリズミカルに使う全身運動)
  • 無酸素運動=短時間高強度。ATP-CP系(〜10秒:重量挙げ、投擲、100m走)と解糖系(30秒〜数分:400m走、腕立て伏せの反復)が担う
  • 処方の目安は最大酸素摂取量の40〜60%、Borgスケール11〜13、20〜60分を週3〜5回
  • 有酸素運動は遅筋主体で最大酸素摂取量を高め、高血圧・糖尿病・脂質異常症など生活習慣病の運動療法の中心
比較表
エネルギー供給系酸素の利用持続時間の目安基質典型的な運動
ATP-CP系(非乳酸性)不要〜10秒クレアチンリン酸重量挙げ、投擲、100m走(後半は解糖系も動員)
解糖系(乳酸性)不要30秒〜数分グルコース(乳酸生成)400m走、200m走、腕立て伏せの反復
有酸素系(酸化系)必要数分以上、長時間糖・脂肪サイクリング、ジョギング、水泳
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