学習トップ理由で解く 柔道整復師リハビリテーション医学 ▸ §3 リハビリテーション医学の基礎医学 / QJ31P017

理由で解く 柔道整復師

QJ31P017 リハビリテーション医学

出典:第31回柔道整復師国家試験(2023)午後 問17
問題
ボツリヌス毒素治療薬が痙縮に対して主に作用する部位はどれか。
選択肢
1 軸索
2 脊髄神経節
3 神経筋接合部
4 脊髄前角細胞体
解答
正解3(神経筋接合部)
解説

ボツリヌス毒素は運動神経終末からのアセチルコリン放出を止めて筋を弛緩させる。作用部位は神経筋接合部である。

A型ボツリヌス毒素を痙縮筋に注射すると、毒素は運動神経終末に選択的に取り込まれ、シナプス小胞の開口放出に必要なSNAREタンパク(SNAP-25)を切断する。その結果、活動電位が終末まで届いてもアセチルコリンが放出されず、筋は化学的に脱神経された状態となり、痙縮による過剰な筋緊張が和らぐ。軸索の伝導そのものや神経細胞体は壊さないため、やがて終末から側芽が伸びて伝達が回復し、効果は3〜4か月程度で減弱する。この「効いている期間」を活かして関節可動域訓練やストレッチ、装具療法、動作練習を組み合わせ、拘縮の予防と機能の底上げにつなげるのが治療の要点である。

✓ 3. 正しい
神経筋接合部
毒素は運動神経終末に取り込まれ、SNAP-25を切断してアセチルコリンの開口放出を阻害する。伝達が遮断されることで筋線維の収縮が抑えられ、痙縮が軽減する。作用は注射した筋の周囲にとどまる局所治療である点も重要。
✗ 1. 誤り
軸 索
ボツリヌス毒素は軸索の興奮伝導自体には影響しない。軸索を変性させて痙縮を減らすのはフェノールやエタノールによる神経ブロックで、作用機序も効果の持続の仕方も異なる。
✗ 2. 誤り
脊髄神経節
脊髄神経節(後根神経節)は感覚神経の細胞体が集まる部位で、運動出力の経路ではない。痙縮の治療標的にはならない。
✗ 4. 誤り
脊髄前角細胞体
α運動ニューロンの細胞体があるのは脊髄前角だが、ボツリヌス毒素の作用は末梢の神経終末にとどまる。脊髄レベルで反射を抑えて痙縮を減らすのはバクロフェンの髄腔内投与などである。
ポイント
  • 作用部位は神経筋接合部(運動神経終末)。
  • 機序:SNAREタンパク(SNAP-25)を切断し、アセチルコリンの放出を阻害する。
  • 効果は局所的・可逆的で、側芽形成により3〜4か月で減弱する。
  • 軸索や神経細胞体は障害しない。神経を変性させるのはフェノール/エタノールブロック。
  • 効果のある期間に可動域訓練・装具・動作練習を併用し、拘縮予防と機能改善につなげる。
比較表
治療作用部位作用の要点
ボツリヌス毒素注射神経筋接合部アセチルコリン放出を阻害、局所・可逆的(3〜4か月)
フェノール/エタノールブロック末梢神経(軸索)神経を化学的に変性させる
バクロフェン髄腔内投与脊髄(GABA_B受容体)脊髄反射を抑制、全身性の痙縮に有効
内服の抗痙縮薬脊髄・中枢/筋全身に作用、眠気などの副作用に注意
ストレッチ・装具療法筋・腱・関節持続的伸張で筋緊張を下げ拘縮を防ぐ
この問題の解説の修正を依頼する

解説に誤り・改善点があればお知らせください。件名と本文は自動入力済みです(編集できます)。お名前・メールアドレスは任意です。送信内容は玄康株式会社(黒澤一弘)に届きます。