学習トップ理由で解く 柔道整復師リハビリテーション医学 ▸ §4 リハビリテーション医学の評価と診断 / QJ32P016

理由で解く 柔道整復師

QJ32P016 リハビリテーション医学

出典:第32回柔道整復師国家試験(2024)午後 問16
問題
自発語が流暢で、理解は障害され、復唱は良好な失語はどれか。
選択肢
1 ブローカ失語
2 ウェルニッケ失語
3 超皮質性運動性失語
4 超皮質性感覚性失語
解答
正解4(超皮質性感覚性失語)
解説

復唱が保たれる=言語野そのものと両者を結ぶ経路が守られているというサインです。流暢・理解障害・復唱良好の3点がそろえば超皮質性感覚性失語です。

失語の分類は「発話が流暢か」「聴覚的理解が保たれるか」「復唱ができるか」の3つの軸で機械的に整理できます。前頭葉下前頭回のブローカ野が損なわれると発話が非流暢になり、側頭葉上側頭回後部のウェルニッケ野が損なわれると聴覚的理解が障害されます。両者をつなぐ弓状束が断たれると、聞いた語をそのまま返す復唱ができなくなります。ここで「超皮質性」という言葉の意味が効いてきます。超皮質性失語は病変が言語野を取り囲む周辺の領域(前大脳動脈と中大脳動脈、中大脳動脈と後大脳動脈の境界にあたる分水嶺領域など)にあり、言語野本体と弓状束は保たれています。そのため、言葉の意味処理は障害されても、音を聞いて音として返す回路は生きており、復唱だけが不思議なほどよく保たれます(相手の言葉をおうむ返しする反響言語がみられることもあります)。超皮質性感覚性失語では、よどみなく話すのに内容に意味が乏しく、聞いて理解することも難しい一方、復唱は良好という組合せになります。

✗ 1. 誤り
ブローカ失語
発話が非流暢で努力性・失構音を伴い、聴覚的理解は比較的よく保たれ、復唱も障害されます。設問が示す3条件(流暢・理解障害・復唱良好)とほぼ正反対です。運動性失語とも呼ばれ、右片麻痺を伴いやすい点も特徴です。
✗ 2. 誤り
ウェルニッケ失語
流暢に話すが錯語やジャルゴンが多く、聴覚的理解が強く障害されるという点までは設問と一致します。しかし弓状束を含む言語領域が損なわれるため復唱も不良です。「復唱良好」という条件がウェルニッケ失語を除外し、超皮質性感覚性失語を指名しています。
✗ 3. 誤り
超皮質性運動性失語
復唱が良好である点は超皮質性の名のとおり一致しますが、自発語が乏しく非流暢で、聴覚的理解は良好です。設問の「自発語が流暢」「理解は障害され」の2点が合いません。ブローカ野の前方・上方の病変で生じます。
✓ 4. 正しい
超皮質性感覚性失語
自発語は流暢、聴覚的理解は障害、復唱は良好という3条件をすべて満たします。ウェルニッケ野の後方・下方の後方連合野の病変で生じ、言語野本体は保たれるため復唱が残ります。訓練では、保たれている復唱の回路を手がかりに、絵カードや実物と語を結びつける意味理解のアプローチを組み立てます。
ポイント
  • 失語は「流暢性・聴覚的理解・復唱」の3軸で分類する。まず復唱の可否で大きく2群に分ける
  • 復唱不良群:ブローカ(非流暢・理解良)、ウェルニッケ(流暢・理解不良)、伝導(流暢・理解良)、全失語(すべて不良)
  • 復唱良好群=超皮質性。運動性(非流暢・理解良)と感覚性(流暢・理解不良)
  • 超皮質性で復唱が残るのは、病変が言語野を取り巻く周辺(分水嶺領域など)にあり言語野本体と弓状束が保たれるため
  • 伝導失語は弓状束の障害で、流暢かつ理解良好なのに復唱だけができない
比較表
失語のタイプ自発語の流暢性聴覚的理解復唱主な病変部位
ブローカ失語非流暢比較的良好不良下前頭回後部(ブローカ野)
ウェルニッケ失語流暢不良不良上側頭回後部(ウェルニッケ野)
伝導失語流暢良好不良弓状束・縁上回
超皮質性運動性失語非流暢良好良好ブローカ野の前方・上方
超皮質性感覚性失語流暢不良良好ウェルニッケ野の後方(後方連合野)
全失語非流暢不良不良中大脳動脈領域の広範な病変
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