学習トップ理由で解く 柔道整復師病理学概論 ▸ §6 進行性病変 / QJ34A123

理由で解く 柔道整復師

QJ34A123 病理学概論

出典:第34回柔道整復師国家試験(2026)午前 問123
問題
慢性炎症で円柱上皮が扁平上皮に変化する現象はどれか。
選択肢
1 萎縮
2 化生
3 再生
4 過形成
解答
正解2(化生)
解説

いったん分化した細胞が、別の種類の分化した細胞に置き換わる現象が化生です。円柱上皮から扁平上皮への変化は扁平上皮化生そのものにあたります。

化生は、慢性の刺激にさらされた組織が、その環境に耐えやすい形へ作り替わる適応現象です。円柱上皮は分泌や吸収には向きますが、機械的・化学的な刺激には弱いため、刺激が続く場所では丈夫な重層扁平上皮に置き換わります。代表例は喫煙者の気管支で線毛円柱上皮が重層扁平上皮になる扁平上皮化生で、子宮頸部の移行帯や、結石など慢性刺激が続く膀胱・唾液腺の導管でも起こります。逆向きの化生もあり、胃酸の逆流が続く食道下部では重層扁平上皮が円柱上皮に変わり(バレット食道)、慢性胃炎の胃粘膜は腸型の上皮に変わります(腸上皮化生)。化生そのものは刺激が取り除かれれば戻り得る可逆的な適応ですが、刺激が続くと異形成を経て発癌の母地になり得ます。だからこそ、禁煙・逆流対策・ピロリ菌の除菌といった原因を減らす働きかけと、定期的な観察につなげることが大切になります。

✓ 2. 正しい
化生
分化した細胞が別系統の分化細胞に置き換わる現象です。設問の「慢性炎症で円柱上皮が扁平上皮に変化する」はまさに扁平上皮化生で、刺激に強い上皮へ作り替えるという適応の枠組みで理解できます。
✗ 1. 誤り(容積が減る変化)
萎縮
いったん正常な大きさに達した細胞・組織・臓器の容積が減ることです。ギプス固定後の廃用性筋萎縮や加齢による萎縮が代表で、量が減るだけで細胞の種類は元のままです。
✗ 3. 誤り(同じ種類の細胞で補う変化)
再生
失われた組織が同じ種類の細胞で補われ、元の構造に近づく現象です。表皮や粘膜上皮、肝細胞は再生能が高い一方、心筋や中枢神経細胞は再生能に乏しく、心筋では線維性の瘢痕、中枢神経ではグリア細胞の増生(グリオーシス)で置き換わります。補う細胞の種類は元と同じなので、種類そのものが入れ替わる化生とは区別します。
✗ 4. 誤り(数が増える変化)
過形成
細胞のが増えて組織や臓器が大きくなることです。前立腺肥大症(組織学的には腺組織の過形成)などが該当します。細胞1個が大きくなる肥大とも区別しますが、いずれにせよ細胞の種類は変わりません。
ポイント
  • 「細胞の種類が変わる」のは化生だけ。萎縮=小さくなる/再生=同種で補う/過形成=数が増える/肥大=1個が大きくなる
  • 扁平上皮化生の代表:喫煙による気管支(線毛円柱上皮→重層扁平上皮)、子宮頸部の移行帯、慢性刺激下の膀胱
  • 逆向きの化生:バレット食道(重層扁平上皮→円柱上皮)、慢性胃炎の腸上皮化生
  • 円柱上皮は分泌・吸収向き、重層扁平上皮は摩擦や乾燥に強い。「その場で必要な強さ」で変化の向きを説明できる
  • 化生は本来可逆的な適応。刺激が続けば異形成から発癌の母地になるので、禁煙・逆流対策・除菌など原因の除去と定期的な観察につなげる
比較表
用語何が変わるか細胞の種類
萎縮細胞・組織の容積が減る変わらない廃用性筋萎縮、加齢による脳萎縮
肥大細胞1個が大きくなる変わらない心肥大、トレーニングによる骨格筋肥大
過形成細胞の数が増える変わらない前立腺肥大症(腺組織の過形成)
再生失われた組織が補われる変わらない(同種で補う)表皮・粘膜上皮・肝細胞の再生
化生別系統の分化細胞に置き換わる変わる気管支の扁平上皮化生、バレット食道、腸上皮化生
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