学習トップ理由で解く 柔道整復師病理学概論 ▸ §6 進行性病変 / QJ33A122

理由で解く 柔道整復師

QJ33A122 病理学概論

出典:第33回柔道整復師国家試験(2025)午前 問122
問題
常時再生しているのはどれか。
選択肢
1 心筋
2 血管内皮
3 中枢神経
4 胃粘膜上皮
解答
正解4(胃粘膜上皮)
解説

胃粘膜上皮は数日で入れ替わる「不安定細胞」で、傷害の有無にかかわらず常に分裂・再生を続けています。

細胞は再生能力によって3つに分けられる。不安定細胞(labile cell)は絶えず分裂している集団で、表皮、消化管粘膜上皮、造血細胞、精上皮が該当する。安定細胞(stable cell)はふだん静止期(G0期)にとどまるが、組織が失われると分裂を再開するもので、肝細胞、腎尿細管上皮、血管内皮細胞、線維芽細胞が入る。永久細胞(permanent cell)は分化を終えて分裂能をほぼ失った細胞で、中枢神経細胞と心筋細胞が代表である。この分類は、損傷後にどこまで元通りになるかを決める。不安定細胞・安定細胞の組織では元の構造に戻る再生が期待できるが、永久細胞の組織では欠損が線維化(瘢痕)で埋められるため機能が戻りにくい。心筋梗塞や脳梗塞で後遺症が残るのはこのためで、失われる前に危険因子を管理することが最大の対策になる。

✓ 4. 正しい
胃粘膜上皮
胃小窩の底部にある幹細胞が分裂を続け、数日単位で表面の細胞と入れ替わる。強い酸と消化酵素にさらされる環境で粘膜を守り続けるための仕組みで、典型的な不安定細胞。だからこそ潰瘍も治りやすい一方、細胞分裂が盛んな分だけ癌化のリスクも抱える。
✗ 1. 誤り
心筋
永久細胞。成人ではほとんど分裂せず、心筋梗塞で失われた部分は線維性の瘢痕組織に置き換わる。収縮力は戻らないため、再発予防と心臓リハビリテーションによる残存機能の維持が中心になる。
✗ 2. 誤り
血管内皮
安定細胞。ふだんは静止期にとどまり、内皮が剥がれたり傷ついたりすると隣接する細胞が分裂して覆い直す。「常時」ではなく「必要に応じて」再生する点が胃粘膜上皮との違い。
✗ 3. 誤り
中枢神経
永久細胞。神経細胞が失われても原則として補充されず、欠損部はグリア細胞の増生(グリオーシス)で埋められる。回復は残った神経回路の再編に頼るため、リハビリテーションの役割が大きい。
ポイント
  • 不安定細胞=常に分裂:表皮、消化管粘膜上皮(胃・腸)、造血細胞、精上皮。
  • 安定細胞=ふだん休止、必要時に再生:肝細胞、腎尿細管上皮、血管内皮、線維芽細胞。
  • 永久細胞=再生しない:中枢神経細胞、心筋細胞。
  • 永久細胞の組織は瘢痕(線維化)で修復されるため機能が戻りにくい。心筋梗塞・脳梗塞の後遺症の理由がこれ。
  • 「常時」を問われたら不安定細胞を選ぶ。安定細胞は再生できるが常時ではない、という区別が引っかけどころ。
比較表
分類分裂の状態代表例損傷後の修復
不安定細胞常に分裂している表皮、胃・腸粘膜上皮、造血細胞、精上皮完全再生しやすい
安定細胞ふだんはG0期、刺激で分裂再開肝細胞、腎尿細管上皮、血管内皮、線維芽細胞条件が整えば再生する
永久細胞ほぼ分裂しない中枢神経細胞、心筋細胞瘢痕(線維化・グリオーシス)で置換
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