学習トップ理由で解く 柔道整復師運動学 ▸ §1 運動学総論 / QJ34A106

理由で解く 柔道整復師

QJ34A106 運動学

出典:第34回柔道整復師国家試験(2026)午前 問106
問題
第1のてこの構造を持つのはどれか。
選択肢
1 上腕二頭筋による肘関節屈曲
2 腕橈骨筋による肘関節屈曲
3 中殿筋による片脚立位
4 ハムストリングスによる膝関節屈曲
解答
正解3(中殿筋による片脚立位)
解説

てこは「支点・力点(筋が付着して引く点)・作用点(抵抗のかかる点)」の並び順で3種類に分かれ、支点が中央にあるものが第1のてこである。中殿筋による片脚立位保持がこれにあたる。

第1のてこは「力点—支点—作用点」の順に並び、支点を挟んで筋の張力と抵抗が反対側で向かい合う天秤型の構造をとる。片脚立位では支持側の大腿骨が固定端となり、てこの棒として動くのは骨盤である。支点は股関節(大腿骨頭)、力点は支点の外側にある腸骨外側面の中殿筋付着部で、中殿筋は起始(腸骨外側面)を停止(大転子)へ引き寄せるように収縮するため、支持側の骨盤を外下方へ引く。作用点は支点の内側を通る身体重心にかかる重力である。支点を挟んで力点と作用点が向かい合うので、第1のてこが成立する。中殿筋が働かないと支持側の骨盤を引き下げる力が失われ、骨盤が遊脚側へ落ちる(トレンデレンブルグ徴候)のは、この釣り合いが崩れるためである。一方、ヒトの骨格筋運動の大半は力点が中央にくる第3のてこで、大きな筋力を要する代わりに速度と可動範囲を稼いでいる。てこの種類を問われたら、まず「どの骨が棒として動くか」を決め、そのうえで支点(関節)・力点(その骨への筋の付着部)・作用点(重量のかかる場所)を順に指さして並び順を確認するとよい。

✓ 3. 正しい
中殿筋による片脚立位
支持側の大腿骨が固定され、てこの棒となるのは骨盤である。支点は股関節(大腿骨頭)、力点は支点の外側にある腸骨外側面の中殿筋付着部(骨盤を外下方へ引く)、作用点は支点の内側を通る身体重心にかかる重力で、支点が力点と作用点の間に位置する第1のてことなる。骨盤を水平に保つ働きが「支点を挟んだつり合い」であることが、この分類の決め手である。
✗ 1. 誤り
上腕二頭筋による肘関節屈曲
てこの棒は前腕で、支点は肘関節、力点は停止部の橈骨粗面(肘関節のすぐ遠位)、作用点は前腕と手にかかる重量でさらに遠位にある。力点が支点と作用点の間にあるため第3のてこである。
✗ 2. 誤り
腕橈骨筋による肘関節屈曲
停止部が橈骨遠位端にあるぶん力点は支点から遠いが、並び順は支点(肘関節)→力点(橈骨遠位)→作用点(手部の重量)で変わらず、やはり第3のてこである。力点が遠い分だけ上腕二頭筋より力の効率はよい。
✗ 4. 誤り
ハムストリングスによる膝関節屈曲
支点は膝関節、力点は脛骨・腓骨の近位部にある停止部、作用点は下腿から足部にかかる重量で、力点が中央にくる第3のてこである。
ポイント
  • 第1のてこ=「力点—支点—作用点」。支点が中央で、安定性・つり合いに優れる(片脚立位の中殿筋、環椎後頭関節での頭部保持、上腕三頭筋による肘伸展)。
  • 第2のてこ=「支点—作用点—力点」。作用点(荷重)が中央で力に有利(つま先立ちでの下腿三頭筋)。
  • 第3のてこ=「支点—力点—作用点」。力点が中央で速度・可動範囲に有利。ヒトの骨格筋運動の大半がこれ。
  • 覚え方:中央にくるものが「支点=1、荷重=2、力点=3」の順。
  • 片脚立位では大腿骨が固定端で骨盤がてこの棒。股関節を挟んで、外側の中殿筋付着部(力点)と内側を通る体重(作用点)が向かい合う。破綻するとトレンデレンブルグ徴候が出る。
比較表
てこの種類並び順中央にあるもの有利な点人体の例
第1のてこ力点—支点—作用点支点安定性・つり合い片脚立位の中殿筋(棒=骨盤)、頭部保持(環椎後頭関節)、上腕三頭筋の肘伸展
第2のてこ支点—作用点—力点作用点(荷重)小さな筋力で大きな抵抗を動かせるつま先立ち(下腿三頭筋)
第3のてこ支点—力点—作用点力点(筋)速度・可動範囲上腕二頭筋・腕橈骨筋の肘屈曲、ハムストリングスの膝屈曲
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