学習トップ理由で解く 柔道整復師生理学 ▸ §8 尿の生成と排泄 / QJ34A100

理由で解く 柔道整復師

QJ34A100 生理学

出典:第34回柔道整復師国家試験(2026)午前 問100
問題
塩分の過剰摂取時に起こるのはどれか。
選択肢
1 体液量の増加
2 血漿浸透圧の低下
3 レニンの分泌亢進
4 心房性ナトリウム利尿ペプチドの分泌抑制
解答
正解1(体液量の増加)
解説

塩分を摂りすぎると血漿浸透圧が上がり、口渇と抗利尿ホルモンの分泌によって水が体内に保持されるため、体液量が増加する。よって選択肢1が正解となる。

ナトリウムは細胞外液の主要な陽イオンで、体液量を決める最大の因子である。塩分(NaCl)を過剰に摂取すると血漿ナトリウム濃度が上がって血漿浸透圧が上昇し、視床下部の浸透圧受容器がこれを感知して口渇を起こし、同時に下垂体後葉からのバゾプレシン(抗利尿ホルモン)分泌を促す。バゾプレシンは腎集合管での水の再吸収を増やすため、飲水と合わせて水が体内に保持され、細胞外液量すなわち体液量が増える。増えた体液量は心房を伸展させ、これを刺激としてANPの分泌が高まり、ナトリウム利尿によって余分な塩分と水を排泄する方向へ働く。また腎血流量と遠位尿細管へのNaCl到達量が増えることで、傍糸球体装置からのレニン分泌はむしろ抑制され、アンジオテンシンIIとアルドステロンも減少する。これらは体液量を元に戻すための負のフィードバックであり、慢性的な塩分過剰では代償が追いつかず血圧上昇につながる。減塩が高血圧対策の基本となる理由もここにある。

✓ 1. 正しい
体液量の増加
浸透圧上昇による口渇とバゾプレシン分泌の増加で水が保持され、細胞外液量が増える。「塩を摂ると喉が渇き、水を飲んでむくむ」という日常の経験がそのまま機序に対応している。
✗ 2. 誤り
血漿浸透圧の低下
ナトリウム濃度が上がるため血漿浸透圧は上昇する。この上昇こそが口渇とバゾプレシン分泌を引き起こす引き金であり、低下では説明がつかない。
✗ 3. 誤り
レニンの分泌亢進
体液量と腎灌流圧が増し、緻密斑に届くNaCl量も増えるため、レニンの分泌は抑制される。レニンが増えるのは出血や脱水など体液量が減ったときである。
✗ 4. 誤り
心房性ナトリウム利尿ペプチドの分泌抑制
循環血液量の増加で心房が伸展されるため、ANPの分泌はむしろ亢進する。ANPはナトリウム利尿と血管拡張により体液量と血圧を下げる方向へ働く。
ポイント
  • ナトリウムは細胞外液量を規定する主要イオン。塩分過剰は体液量増加につながる。
  • 血漿浸透圧上昇 → 視床下部の浸透圧受容器 → 口渇+バゾプレシン分泌 → 水の再吸収増加。
  • 体液量増加 → 心房伸展 → ANP分泌亢進 → ナトリウム利尿・血管拡張。
  • 体液量増加 → レニン分泌抑制 → アンジオテンシンII・アルドステロン減少。
  • これらは体液量を戻す負のフィードバック。慢性的な塩分過剰は血圧上昇を招くため、減塩が対策の基本となる。
比較表
指標塩分過剰摂取時脱水・出血時
血漿浸透圧上昇上昇(脱水)/ほぼ不変(出血)
体液量(細胞外液量)増加減少
バゾプレシン(ADH)分泌増加分泌増加
レニン・アルドステロン分泌抑制分泌亢進
ANP分泌亢進分泌低下
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