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理由で解く 柔道整復師

QJ33A101 生理学

出典:第33回柔道整復師国家試験(2025)午前 問101
問題
糸球体濾過率の推定に使用されるのはどれか。
選択肢
1 グルコース
2 クレアチニン
3 ナトリウム
4 パラアミノ馬尿酸
解答
正解2(クレアチニン)
解説

糸球体濾過率(GFR)の指標になれるのは、「糸球体で自由に濾過され、そのあと尿細管で再吸収も分泌もされない」物質だけです。臨床でその条件に最も近く、体内で一定量つくられ続けるのがクレアチニンです。

ある物質のクリアランスは〔尿中濃度 × 尿量 ÷ 血漿濃度〕で求めます。この値がそのままGFRを表すには、①糸球体を自由に通過する(小分子でタンパクと結合していない)、②尿細管で再吸収されない、③尿細管から分泌されない、という3条件が要ります。3条件を完全に満たすのがイヌリンで、GFR測定の基準物質です。ただしイヌリンは体内にないため点滴投与が必要で、日常検査には向きません。そこで、筋肉のクレアチンリン酸から一定の速さで生じるクレアチニンを代用します。クレアチニンは尿細管からわずかに分泌されるためGFRをやや高めに見積もりますが、採血だけで繰り返し評価でき、実用上の標準になっています。まず「その物質が尿細管で何をされるか」を思い出してから、何の指標かを決める順で考えると迷いません。

✓ 2. 正しい
クレアチニン
筋肉で日々ほぼ一定量が産生され、糸球体で自由に濾過されたあと、ほとんど再吸収されません。内因性の物質なので投与せずに測れ、クレアチニンクリアランスや血清クレアチニン値からの推算式でGFRを見積もります。ごく一部が尿細管から分泌される点だけ、値をやや過大評価する要因として押さえておきます。
✗ 1. 誤り
グルコース
糸球体では自由に濾過されますが、近位尿細管のナトリウム共役輸送体でほぼ100%再吸収され、健常では尿中に出ません。クリアランスがほぼゼロになるため、濾過量を映す指標にはなりません。血糖が再吸収の上限(およそ180 mg/dL前後)を超えると尿糖が現れる、という別のテーマの物質として整理しておきます。
✗ 3. 誤り
ナトリウム
濾過されたナトリウムの99%以上が尿細管で再吸収され、しかもその再吸収量はアルドステロンや心房性ナトリウム利尿ペプチドなどで刻々と変わります。体液量・血圧の調節を反映する指標ではあっても、濾過量そのものは反映しません。
✗ 4. 誤り
パラアミノ馬尿酸
濾過されるうえに近位尿細管から活発に分泌され、腎を1回通る間に血漿中からほぼ全部が尿へ移ります。したがって腎血漿流量(RPF)の推定に使う物質です。なお、GFRをRPFで割った値は濾過分画(filtration fraction、およそ0.2)と呼ばれ、設問が問うている糸球体濾過率(GFR、mL/分という流量)とは別の量(単位をもたない比)です。名前が似ているので、「GFR=1分間に濾過される量」「濾過分画=腎に流れ込んだ血漿のうち濾過された割合」と定義ごと分けて覚え、PAHとイヌリン/クレアチニンはセットで整理すると混同しません。
ポイント
  • クリアランス =〔尿中濃度 × 尿量〕÷ 血漿濃度。GFRを表すには「自由に濾過・再吸収されない・分泌されない」の3条件が必要。
  • イヌリン=GFR測定の基準(外因性・要投与)、クレアチニン=臨床での代用(内因性・簡便、わずかな分泌でやや過大評価)。
  • パラアミノ馬尿酸(PAH)=腎血漿流量(RPF)の推定に使う。
  • 濾過分画(filtration fraction)=GFR÷RPF≒0.2。単位をもたない比であり、設問の糸球体濾過率(GFR、mL/分)とは別の量なので混同しない。
  • グルコースは近位尿細管でほぼ全再吸収、ナトリウムは99%以上が再吸収されホルモン調節を受けるため、いずれもGFRの指標にならない。
  • 選択肢を見たら「濾過されたあと尿細管で何をされるか」を先に決めると、指標の種類が自動的に決まる。
比較表
物質糸球体濾過尿細管での扱い何の指標か
イヌリン自由に濾過再吸収も分泌もされない糸球体濾過率GFR(基準物質)
クレアチニン自由に濾過再吸収されない/ごく一部が分泌糸球体濾過率GFR(臨床で使用)
パラアミノ馬尿酸濾過される近位尿細管から強く分泌腎血漿流量RPF(GFR÷RPF=濾過分画≒0.2)
グルコース自由に濾過近位尿細管でほぼ全部再吸収GFRの指標にならない(尿糖・再吸収閾値の話)
ナトリウム自由に濾過99%以上を再吸収、ホルモンで変動GFRの指標にならない(体液量調節)
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