学習トップ理由で解く 柔道整復師生理学 ▸ §3 循環 / QJ34A097

理由で解く 柔道整復師

QJ34A097 生理学

出典:第34回柔道整復師国家試験(2026)午前 問97
問題
細動脈を拡張させるのはどれか。
選択肢
1 アンジオテンシンII
2 エンドセリン
3 心房性ナトリウム利尿ペプチド
4 バゾプレッシン
解答
正解3(心房性ナトリウム利尿ペプチド)
解説

選択肢のうち血管を拡張させるのは心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)だけで、他の三つはいずれも強力な血管収縮物質である。よって選択肢3が正解となる。

ANPは、循環血液量が増えて心房が伸展されると心房筋から分泌されるホルモンで、体液量と血圧を下げる方向にまとめて働く。血管平滑筋では細胞内cGMPを増やして弛緩させ、細動脈を拡張して末梢血管抵抗を下げる。腎臓では糸球体濾過量を増やし集合管でのNa⁺再吸収を抑えてナトリウム利尿を促す。さらにレニン、アルドステロン、バゾプレシンの分泌を抑制するため、レニン-アンジオテンシン-アルドステロン系(RAA系)と正反対の作用をもつホルモンとして位置づけられる。一方、細動脈は末梢血管抵抗の主な調節部位であり、アンジオテンシンII、エンドセリン、バゾプレシンはいずれもここを収縮させて血圧を上げる。「血圧を上げる側か下げる側か」でホルモンを二群に仕分けておくと、この種の問題は確実に取れる。

✓ 3. 正しい
心房性ナトリウム利尿ペプチド
心房の伸展を刺激に分泌され、cGMPを介して血管平滑筋を弛緩させて細動脈を拡張する。あわせてナトリウム利尿を促し、レニン・アルドステロン・バゾプレシンを抑制して血圧を下げる。
✗ 1. 誤り
アンジオテンシンII
アンジオテンシンIIは細動脈を強く収縮させて血圧を上げるとともに、副腎皮質からのアルドステロン分泌を促してNa⁺と水の再吸収を増やす。RAA系の中心的な昇圧物質である。
✗ 2. 誤り
エンドセリン
エンドセリンは血管内皮細胞が産生する強力な血管収縮物質である。内皮由来の物質でも、一酸化窒素(NO)が拡張、エンドセリンが収縮と正反対に働く点を対にして覚える。
✗ 4. 誤り
バゾプレッシン
バゾプレシン(抗利尿ホルモン)は腎集合管のV2受容体を介して水の再吸収を促し、高濃度では血管平滑筋のV1受容体を介して血管を収縮させる。「血管を締める」という別名(血管収縮素)どおりの作用である。
ポイント
  • ANPは心房の伸展(循環血液量の増加)で分泌され、血管拡張+ナトリウム利尿で血圧を下げる。
  • ANPはレニン・アルドステロン・バゾプレシンを抑制し、RAA系と拮抗する。
  • アンジオテンシンII、エンドセリン、バゾプレシン(V1)はいずれも血管収縮物質。
  • 細動脈は末梢血管抵抗を決める主な部位で、口径の変化が血圧に直結する。
  • 血管拡張側にはNO、プロスタサイクリン、ブラジキニン、アデノシンなどもある。
比較表
物質血管への作用主な産生部位・補足
心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)拡張心房筋。Na利尿、RAA系抑制
アンジオテンシンII収縮RAA系。アルドステロン分泌促進
エンドセリン収縮血管内皮細胞。強力な収縮物質
バゾプレシン(ADH)収縮(V1受容体)下垂体後葉。集合管で水再吸収(V2)
一酸化窒素(NO)拡張血管内皮細胞。cGMPを介する
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