学習トップ理由で解く 柔道整復師生理学 ▸ §4 呼吸 / QJ34A098

理由で解く 柔道整復師

QJ34A098 生理学

出典:第34回柔道整復師国家試験(2026)午前 問98
問題
安静吸息時に収縮するのはどれか。
選択肢
1
2 横隔膜
3 胸膜
4 内肋間筋
解答
正解2(横隔膜)
解説

安静時の吸息は横隔膜(と外肋間筋)の収縮によって起こる。肺自体は筋をもたず、受動的に膨らむだけである。よって選択肢2が正解となる。

呼吸運動の本体は胸郭と横隔膜の動きである。横隔神経(C3〜C5)の支配を受ける横隔膜が収縮すると、ドーム状の横隔膜が平坦化して下降し、胸腔が上下方向に広がる。同時に外肋間筋が収縮して肋骨を挙上し、胸郭が前後・左右にも拡大する。胸腔が広がると胸膜腔内圧(胸腔内圧)の陰圧がさらに強まり、この圧差によって肺が引き伸ばされて肺胞内圧が大気圧より低くなり、空気が流れ込む。安静時の吸息では横隔膜の働きが換気量の大部分を占める。これに対し安静時の呼息は、収縮していた吸息筋が弛緩し、伸ばされた肺と胸郭の弾性が元に戻ろうとする力によって受動的に起こり、筋の収縮を必要としない。努力呼息では内肋間筋や腹筋群が働き、努力吸息では胸鎖乳突筋や斜角筋などの呼吸補助筋が加わる。

✓ 2. 正しい
横隔膜
横隔膜は骨格筋であり、収縮して下降することで胸腔を拡大し吸息を起こす。安静時の吸息における主役で、横隔神経(C3〜C5)に支配される。
✗ 1. 誤り
肺には自ら縮んだり広がったりする筋がなく、胸腔の容積変化に伴う圧差によって受動的に膨らむ。むしろ肺自体は弾性により縮もうとする性質をもち、これが安静呼息の原動力となる。
✗ 3. 誤り
胸膜
胸膜は肺と胸壁を覆う漿膜であり筋組織ではない。胸膜腔の陰圧と少量の胸膜液によって肺を胸壁の動きに追従させる役割を果たすが、自ら収縮することはない。
✗ 4. 誤り
内肋間筋
内肋間筋は肋骨を引き下げて胸郭を縮小させる呼息筋で、しかも安静時ではなく努力呼息のときに働く。吸息時に働くのは外肋間筋である。
ポイント
  • 安静吸息=横隔膜(主役)+外肋間筋の収縮による能動的な過程。
  • 安静呼息=吸息筋の弛緩と肺・胸郭の弾性による受動的な過程。
  • 肺には筋がなく、胸腔内圧(陰圧)の変化で受動的に膨らむ。
  • 努力呼息では内肋間筋・腹筋群、努力吸息では胸鎖乳突筋・斜角筋などが働く。
  • 横隔膜は横隔神経(C3〜C5)支配。頸髄上位の損傷では呼吸が障害される。
比較表
働く筋能動/受動胸腔内圧
安静吸息横隔膜、外肋間筋能動陰圧が強まる
安静呼息なし(弾性復元)受動陰圧が弱まる
努力吸息+胸鎖乳突筋、斜角筋など能動さらに強い陰圧
努力呼息内肋間筋、腹筋群能動陽圧になりうる
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