学習トップ理由で解く 柔道整復師解剖学 ▸ §11 体表解剖 / QJ34A078

理由で解く 柔道整復師

QJ34A078 解剖学

出典:第34回柔道整復師国家試験(2026)午前 問78
問題
タバチエール(解剖学的嗅ぎタバコ入れ)を構成するのはどれか。
選択肢
1 総指伸筋
2 示指伸筋
3 長母指伸筋
4 長橈側手根伸筋
解答
正解3(長母指伸筋)
解説

タバチエールの尺側(内側)の縁をつくるのが長母指伸筋腱である。橈側の縁は長母指外転筋腱と短母指伸筋腱がつくる。

タバチエール(解剖学的嗅ぎタバコ入れ)は、母指を強く伸展・外転させたときに手関節の橈側背面に現れる三角形のくぼみである。橈側の縁は伸筋支帯第1区画を通る長母指外転筋腱と短母指伸筋腱、尺側の縁は第3区画を通る長母指伸筋腱がつくる。長母指伸筋腱は橈骨背面のリスター結節を滑車のように回り込んで斜めに走るため、この縁ができる。くぼみの床は近位から橈骨茎状突起・舟状骨・大菱形骨が並び、その上を橈骨動脈が斜めに横切って第1背側骨間筋の間から手掌へ入る。臨床的にはここが舟状骨の触診点で、転倒して手をついたあとにタバチエールに圧痛があれば舟状骨骨折を疑い、初期エックス線で写らないことも多いため固定したうえで医療機関での再評価につなげる。

✓ 3. 正しい
長母指伸筋
第3区画を通り、リスター結節で向きを変えて母指末節骨底へ向かう。タバチエールの尺側(内側)縁を明瞭に浮き上がらせる腱である。
✗ 1. 誤り
総指伸筋
第4区画を通り、手背で第2〜5指へ分かれる。タバチエールよりも尺側を走るため、くぼみの縁にはならない。
✗ 2. 誤り
示指伸筋
同じく第4区画を通り、総指伸筋の示指腱の尺側に加わる。母指側には関与せず、タバチエールを構成しない。
✗ 4. 誤り
長橈側手根伸筋
第2区画を通り第2中手骨底に停止する。タバチエールの床を横切って走る腱であって、くぼみの縁をつくるわけではない。「中を通る」と「縁をつくる」を区別するのがこの選択肢の要点。
ポイント
  • タバチエールの橈側(外側)縁=長母指外転筋腱+短母指伸筋腱(第1区画)、尺側(内側)縁=長母指伸筋腱(第3区画)。
  • 床は近位から橈骨茎状突起・舟状骨・大菱形骨。舟状骨の触診点になる。
  • 中を橈骨動脈が斜走する。橈骨神経浅枝と橈側皮静脈の起始部も近くを通る。
  • タバチエールの圧痛は舟状骨骨折を疑うサイン。受傷直後のエックス線で写らないこともあるため、固定して医療機関での再評価につなげる。
  • 長・短橈側手根伸筋腱は床を横切るだけで縁は形成しない。「縁」と「床を通るもの」を分けて整理する。
比較表
位置構造伸筋支帯の区画
橈側(外側)縁長母指外転筋腱・短母指伸筋腱第1区画
尺側(内側)縁長母指伸筋腱第3区画
床(底)橈骨茎状突起・舟状骨・大菱形骨
床を横切る腱長橈側手根伸筋腱・短橈側手根伸筋腱第2区画
内容橈骨動脈・橈骨神経浅枝・橈側皮静脈起始
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