学習トップ理由で解く 柔道整復師必修問題 ▸ §17 肩関節烏口下脱臼の診察および整復 / QJ34A017

理由で解く 柔道整復師

QJ34A017 必修問題

出典:第34回柔道整復師国家試験(2026)午前 問17
問題
肩関節烏口下脱臼が反復性になる要因はどれか。
選択肢
1 大結節骨折
2 腋窩神経麻痺
3 前方関節窩損傷
4 上方関節唇損傷
解答
正解3(前方関節窩損傷)
解説

反復性肩関節脱臼の主因は、初回脱臼時に生じる前下方の関節窩・関節唇の損傷(バンカート損傷)です。正しいのは3です。

肩関節烏口下脱臼では、骨頭が前下方へ逸脱する際に、関節窩の前下縁から関節唇・関節包が剥がれるバンカート損傷が生じます。関節唇は関節窩の受け皿を深くして骨頭を安定させる構造なので、ここが治癒しないまま残ると前方への支えが失われ、外転・外旋位でわずかな外力でも再脱臼するようになります。同時に骨頭後外側が関節窩前縁に当たってできる陥凹(ヒル・サックス損傷)があると、外転外旋位で骨頭が引っかかりやすくなり、不安定性はさらに強まります。大結節骨折や腋窩神経麻痺は初回脱臼に伴いうる合併損傷ですが、反復性を生む構造的な原因ではありません。若年の初回脱臼ほど反復性へ移行しやすいため、適切な期間の固定と段階的な運動再開の指導が重要になります。

✓ 3. 正しい
前方関節窩損傷
関節窩前下縁の関節唇・関節包の剥離(バンカート損傷)が治癒せず残ると、前方の支持機構が失われて反復性脱臼の原因になります。
✗ 1. 誤り
大結節骨折
初回脱臼に合併することはありますが、関節の前方支持機構そのものの破綻ではないため、反復性の直接の要因にはなりません。
✗ 2. 誤り
腋窩神経麻痺
脱臼時に注意すべき合併症ですが、三角筋の麻痺や肩外側の感覚障害を生じるもので、関節の構造的な不安定性をつくるものではありません。
✗ 4. 誤り
上方関節唇損傷
上方関節唇損傷(SLAP損傷)は投球動作などで生じ、上腕二頭筋長頭腱付着部周囲の障害です。前方不安定性の主因ではありません。
ポイント
  • 反復性肩関節脱臼の主因=関節窩前下縁の関節唇・関節包剥離(バンカート損傷)。
  • 骨頭後外側の陥凹(ヒル・サックス損傷)が加わると外転外旋位で不安定性がさらに強まる。
  • 大結節骨折・腋窩神経麻痺は合併損傷であり、反復性の構造的原因ではない。
  • 上方関節唇損傷(SLAP)は投球障害などでみられ、前方不安定症とは別。
  • 若年の初回脱臼ほど反復性に移行しやすく、適切な固定期間と段階的な運動再開の指導が重要。
比較表
損傷部位反復性への関与
バンカート損傷関節窩前下縁の関節唇・関節包主因
ヒル・サックス損傷上腕骨頭後外側の陥凹不安定性を助長
大結節骨折上腕骨大結節合併損傷(主因ではない)
腋窩神経麻痺腋窩神経合併症(主因ではない)
SLAP損傷上方関節唇投球障害などで問題、前方不安定の主因ではない
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