学習トップ理由で解く 柔道整復師必修問題 ▸ §17 肩関節烏口下脱臼の診察および整復 / QJ33A020

理由で解く 柔道整復師

QJ33A020 必修問題

出典:第33回柔道整復師国家試験(2025)午前 問20
問題
肩関節烏口下脱臼に対するヒポクラテス法で誤っているのはどれか。
選択肢
1 足の外側縁を腋窩に当てる。
2 肩関節を内転、内旋で終える。
3 両手で上腕遠位部を把持する。
4 肩関節を外転、外旋位に牽引する。
解答
正解3(両手で上腕遠位部を把持する。)
解説

ヒポクラテス法では、術者は両手で患肢の手関節部を把持して末梢牽引する。「上腕遠位部を把持する」は当てはまらないので、3が答え(誤りの記述)。

肩関節烏口下脱臼に対するヒポクラテス法(踵骨法)は、患者を背臥位にし、術者が患側に座って足の外側縁を患者の腋窩に差し入れ、これを支点とする方法である。術者は両手で患肢の手関節部を握り、上肢を外転・外旋位で末梢へ牽引しながら、腋窩の足を支点にして上腕骨頭を関節窩の方向へ導き、最後に内転・内旋位に戻して終える。牽引点を手関節部に置くのは、てこの腕を長く取ることで少ない力で確実に牽引でき、外旋から内旋へという回旋操作も同時に伝えられるからである。上腕遠位を握るとてこが短くなり、回旋も伝わりにくい。腋窩は神経・血管が走る部位なので、踵を強く押し込まず足の外側縁を当て、力任せではなく愛護的に操作する。高齢者では上腕骨外科頸骨折の合併があるため、医師の診察・画像確認を経てから整復に移る。

✓ 3. これが答え(記述が誤り)
両手で上腕遠位部を把持する。
把持するのは手関節部(前腕遠位)である。手関節部を握ることで、てこの腕が長くなり少ない力で牽引でき、外旋から内旋への回旋も骨頭へ伝わる。上腕遠位を握る形では牽引に大きな力を要し、回旋操作も効きにくい。
✗ 1. 正しい記述(答えではない)
足の外側縁を腋窩に当てる。
足底の外側縁を腋窩に差し入れ、これを支点にするのがこの方法の要。踵を強く押し込むのではなく外側縁を当てることで、腋窩の神経・血管への圧迫を抑えられる。
✗ 2. 正しい記述(答えではない)
肩関節を内転、内旋で終える。
牽引で骨頭を関節窩の高さまで導いたあと、内転・内旋位に戻して整復を終える。整復されると弾発性固定が消え、肩の輪郭(三角筋の膨らみ)が戻る。
✗ 4. 正しい記述(答えではない)
肩関節を外転、外旋位に牽引する。
牽引の初期肢位として正しい。外転・外旋位で末梢へ牽引しながら腋窩の足を支点に使うことで、骨頭が関節窩へ向かう経路をつくる。
ポイント
  • ヒポクラテス法=背臥位で足の外側縁を腋窩に入れ、支点として用いる踵骨法。
  • 把持部位は手関節部。てこを長く取り、牽引と回旋を同時に伝えるため。
  • 操作の流れ:外転・外旋位で末梢牽引 → 支点で骨頭を誘導 → 内転・内旋位で終える。
  • 腋窩は神経・血管が通る。踵を押し込まず外側縁を当て、力任せにせず愛護的に行う。
  • 高齢者では上腕骨外科頸骨折の合併に注意し、医師の診察・画像確認を経てから整復する。
比較表
方法体位・支点把持部位操作の骨子
ヒポクラテス法背臥位。足の外側縁を腋窩に当てて支点にする手関節部外転・外旋位で牽引 → 内転・内旋で終える
コッヘル法坐位または背臥位。肘を約90度屈曲肘・前腕牽引しつつ内転 → 外旋 → 前方挙上 → 内旋
ゼロポジション牽引法背臥位。肩甲棘と上腕骨が一直線になる挙上位前腕・手関節部ゼロポジションで末梢牽引
この問題の解説の修正を依頼する

解説に誤り・改善点があればお知らせください。件名と本文は自動入力済みです(編集できます)。お名前・メールアドレスは任意です。送信内容は玄康株式会社(黒澤一弘)に届きます。