学習トップ理由で解く 柔道整復師必修問題 ▸ §18 肩関節烏口下脱臼の固定 / QJ33A021

理由で解く 柔道整復師

QJ33A021 必修問題

出典:第33回柔道整復師国家試験(2025)午前 問21
問題
肩関節烏口下脱臼整復後の固定肢位はどれか。
選択肢
1 軽度内転、30度水平伸展、内旋位
2 軽度内転、60 度水平屈曲、外旋位
3 軽度外転、30度水平屈曲、内旋位
4 軽度外転、60度水平伸展、外旋位
解答
正解3(軽度外転、30度水平屈曲、内旋位)
解説

前方(烏口下)脱臼の固定肢位は「再脱臼させる方向の逆」を作るのが原則です。外転・外旋・水平伸展を避け、軽度外転・水平屈曲30度・内旋位で保持します。

烏口下脱臼は上腕骨頭が関節窩の前下方(烏口突起の下)へ逸脱したもので、肩関節脱臼の大多数を占めます。受傷肢位は肩の外転・外旋・水平伸展の複合であり、この方向では前方の関節包・関節唇・下関節上腕靱帯という損傷部位が引き伸ばされ、断端が離れてしまいます。そこで整復後は逆に、上腕を体幹に接して保持し、およそ肩甲骨面(前額面より約30度前方=水平屈曲30度)に上腕を置き、内旋位に保つことで前方の支持機構を緩ませ、断端どうしを近づけた状態で治癒させます。ここでいう「軽度外転」は、腋窩に枕子(綿花枕)を入れて上腕と体幹の間にわずかな間隙をつくるため、上腕が体幹に密着しきった内転位ではなく、体幹からごくわずかに離れた肢位になることを指しています。外転はあくまで体幹から遠ざける方向を表す用語であり、成書や他年度の設問が同じ固定を「肩関節軽度屈曲・内転・内旋位」と表現していても、上腕を体幹側へ寄せて保つという内容は同じで矛盾しません。実際には腋窩に枕子を入れたうえで、麦穂帯(スパイカ包帯)やデゾー包帯、三角巾とずれ止め包帯で上腕を体幹に固定し、肘関節は90度屈曲位とします。固定期間はおおむね3〜4週が目安ですが、高齢者では拘縮を防ぐため短めにし、固定中から手指・手関節・肘の自動運動を行わせます。あわせて腋窩神経障害の有無(三角筋の収縮と肩外側部の感覚)と末梢循環を確認します。

✓ 3. 正しい
軽度外転、30度水平屈曲、内旋位
三要素すべてが「前方の支持機構を緩ませる方向」で揃っています。軽度外転は、腋窩に枕子を入れて上腕を体幹に接して保持したときの肢位を指し、30度水平屈曲でおよそ肩甲骨面(前額面より約30度前方)に上腕を置き、内旋位で骨頭を後方へ向けるため、前方の関節包・関節唇の断端が接近した状態で保持できます。
✗ 1. 誤り
軽度内転、30度水平伸展、内旋位
内旋位という要素は適切ですが、水平伸展は上腕を体幹より後方へ引く動きで、骨頭を前方の関節包へ押しつける方向です。前方脱臼の固定では水平伸展を作ってはならず、必ず水平屈曲位(前方)に置きます。
✗ 2. 誤り
軽度内転、60 度水平屈曲、外旋位
外旋位が決定的に不適切です。外旋は前下方の関節上腕靱帯を緊張させ、骨頭を前方へ向ける肢位で、再脱臼の危険が高まります。加えて水平屈曲60度は前方へ持ち込みすぎで、上腕を体幹に接して保持することが難しくなります。
✗ 4. 誤り
軽度外転、60度水平伸展、外旋位
水平伸展と外旋の組合せは、まさに烏口下脱臼が起こるときの肢位そのものです。この肢位で固定すれば前方の損傷部は最大限に離開し、再脱臼を招きます。四肢のなかで最も避けるべき組合せです。
ポイント
  • 烏口下脱臼=前方脱臼の代表。骨頭は関節窩の前下方へ逸脱する。
  • 再脱臼させる肢位は「外転・外旋・水平伸展」。固定はこの逆を作る。
  • 固定肢位は軽度外転・水平屈曲30度(=およそ肩甲骨面、前額面より約30度前方)・内旋位。上腕は体幹に接して保持する。
  • 「軽度外転」は腋窩に枕子(綿花枕)を入れるため完全な内転位にならないことを指す。成書・他年度の設問の「軽度屈曲・内転・内旋位」という表現と内容は同じで矛盾しない。
  • 腋窩に枕子を入れ、麦穂帯(スパイカ包帯)やデゾー包帯・三角巾で上腕を体幹に固定し、肘は90度屈曲位。固定期間はおおむね3〜4週。
  • 腋窩神経障害の確認=三角筋の収縮+肩外側部の感覚。高齢者は拘縮予防のため固定を短めにし、手指・手関節・肘の自動運動を並行させる。
比較表
脱臼の方向再脱臼を招く肢位整復後の固定肢位
前方(烏口下)外転・外旋・水平伸展軽度外転(腋窩に枕子)・水平屈曲30度・内旋位/上腕を体幹に接して保持
後方内転・内旋・水平屈曲軽度外転・外旋位
下方(腋窩)過度の外転・挙上上腕を下制し体幹に接して保持
この問題の解説の修正を依頼する

解説に誤り・改善点があればお知らせください。件名と本文は自動入力済みです(編集できます)。お名前・メールアドレスは任意です。送信内容は玄康株式会社(黒澤一弘)に届きます。