学習トップ理由で解く 柔道整復師柔道整復理論 ▸ §24 臨床実地問題 / QJ33P114

理由で解く 柔道整復師

QJ33P114 柔道整復理論

出典:第33回柔道整復師国家試験(2025)午後 問114
問題
11歳の女児。女子野球部の右投げピッチャーである。繰り返しの投球動作で右肩部に痛みを自覚していたが、徐々に悪化し安静時も痛むようになってきたため来所した。肩関節可動域は正常で、他動で痛みは増悪しない。約4週の安静を指導し痛みが消失した。考えられるのはどれか。
選択肢
1 肩関節周囲炎
2 棘上筋腱損傷
3 上腕骨近位骨端線離開
4 上腕骨大結節裂離骨折
解答
正解3(上腕骨近位骨端線離開)
解説

成長期の投球障害で、可動域が正常・他動では痛みが増悪しない・安静で消失という経過は上腕骨近位骨端線離開(いわゆるリトルリーガー肩)に一致する。答えは3である。

骨端線は成長期における力学的な弱点であり、投球の反復による回旋と牽引のストレスが上腕骨近位骨端線に集中して離開を生じる。自ら力を出す投球動作では痛むが、他動的に動かしても骨端線には負荷がかからないため疼痛が誘発されにくい。拘縮を伴わないので可動域は正常に保たれ、投球を休むと数週で痛みが消えるのが典型的な経過である。痛みが消えた後は投球数と休養日の管理、体幹・下肢を使ったフォームの再構築を行い、段階的に投球を再開していく。

✗ 1. 誤り
肩関節周囲炎
40〜60歳代に好発し、他動でも可動域が制限される拘縮を特徴とする。11歳で可動域が正常という本例の所見と合わない。
✗ 2. 誤り
棘上筋腱損傷
腱の変性を基盤として中高年に生じることが多く、抵抗運動やインピンジメントテストで疼痛が誘発される。他動で痛みが増悪せず、安静4週で消失した経過とは異なる。
✓ 3. 正しい
上腕骨近位骨端線離開
成長期の反復投球により骨端線が離開する。自動運動(投球)で痛み、他動では誘発されず、可動域は正常で、投球中止により軽快するという特徴がすべて揃う。
✗ 4. 誤り
上腕骨大結節裂離骨折
肩関節前方脱臼や直達外力など、一度の明らかな外傷で急性に発症する。徐々に悪化した反復性の経過とは合致しない。
ポイント
  • 成長期は骨端線が力学的な弱点。反復投球で上腕骨近位骨端線離開(リトルリーガー肩)を生じる。
  • 可動域は正常、他動では疼痛が誘発されにくく、投球中止で数週のうちに軽快する。
  • 肩関節周囲炎は中高年で拘縮(他動可動域制限)が必発。
  • 棘上筋腱損傷は中高年に多く、抵抗運動・インピンジメントテストで疼痛が誘発される。
  • 復帰は投球数と休養日の管理、体幹・下肢を使うフォームの再構築を経て段階的に進める。
比較表
疾患好発年齢可動域疼痛の誘発
上腕骨近位骨端線離開10〜15歳の成長期正常投球(自動)で痛む。他動では誘発されにくい
肩関節周囲炎40〜60歳代制限(拘縮)他動運動でも痛む
棘上筋腱損傷中高年ほぼ保たれる〜制限抵抗運動・インピンジメントテストで誘発
上腕骨大結節裂離骨折成人疼痛による制限明らかな外傷後に急性発症
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