学習トップ理由で解く 柔道整復師柔道整復理論 ▸ §24 臨床実地問題 / QJ33P111

理由で解く 柔道整復師

QJ33P111 柔道整復理論

出典:第33回柔道整復師国家試験(2025)午後 問111
問題
24歳の女性。事務員で一日の大半がデスクワークである。数か月前から腰痛を自覚し、痛みが徐々に強くなったため来所した。腰部は前弯が強く、後屈で痛みが増悪する。SLR検査は陰性で、下肢の感覚異常や筋力低下はみられない。考えられるのはどれか。
選択肢
1 腸腰筋拘縮
2 脊柱管狭窄症
3 変形性腰椎症
4 椎間板ヘルニア
解答
正解1(腸腰筋拘縮)
解説

長時間の座位で腸腰筋が短縮すると骨盤が前傾し腰椎前弯が強まる。後屈で増悪し神経症状を伴わない本例は、腸腰筋拘縮による腰痛と考える。

腸腰筋(大腰筋+腸骨筋)は腰椎椎体・腸骨窩から起こり大腿骨小転子に停止する股関節屈筋である。デスクワークで股関節屈曲位を一日中続けると、この筋が短縮した状態で固まり、立位では骨盤が前方に引かれて前傾し、代償として腰椎前弯が増強する。すると荷重が椎間関節や後方要素に集中し、後屈でさらに関節面が接近するため痛みが強まる。神経根は圧迫されないのでSLR検査は陰性、下肢の感覚異常や筋力低下も出ない。対応は腸腰筋のストレッチと股関節前面の柔軟性改善、体幹深部筋による安定化、椅子や机の高さなど作業環境の調整、こまめに立ち上がって股関節を伸展する習慣づけである。

✓ 1. 正しい
腸腰筋拘縮
若年、長時間座位という生活背景、腰椎前弯の増強、後屈での増悪、神経症状の欠如がすべて一致する。トーマステストで股関節屈曲拘縮を確認できる。ストレッチと姿勢・環境の調整で改善が期待できる。
✗ 2. 誤り
脊柱管狭窄症
後屈で症状が増悪する点は共通するが、加齢性変化を背景に中高年に生じ、間欠跛行と下肢のしびれ・筋力低下を伴うのが典型である。24歳で神経症状を欠く本例には合わない。
✗ 3. 誤り
変形性腰椎症
椎間板の変性と骨棘形成による中高年の疾患で、朝のこわばりや動作開始時痛が特徴。24歳で数か月の経過という設定とは年齢層が合わない。
✗ 4. 誤り
椎間板ヘルニア
前屈や座位で増悪し、SLR検査陽性、デルマトームに沿った感覚障害や筋力低下を伴うのが典型。本例はSLR陰性、神経症状なしで、後屈で増悪しており方向が逆である。
ポイント
  • 腸腰筋拘縮 → 骨盤前傾 → 腰椎前弯増強 → 後方要素への負荷 → 後屈で痛み。
  • 神経根症状(SLR陽性、感覚障害、筋力低下)がないことが鑑別の要。
  • 椎間板ヘルニアは前屈・座位で増悪、SLR陽性。方向が逆。
  • 後屈で増悪する疾患には脊柱管狭窄症もあるが、中高年+間欠跛行+神経症状が伴う。
  • 対応は腸腰筋ストレッチ、体幹の安定化、作業環境の調整、こまめな立位休憩。
比較表
疾患増悪する動作SLR神経症状好発年齢
腸腰筋拘縮後屈陰性なし若年〜壮年(座位が長い人)
脊柱管狭窄症後屈・歩行陰性のことが多い間欠跛行、下肢しびれ中高年
変形性腰椎症動作開始時陰性乏しい中高年
椎間板ヘルニア前屈・座位陽性感覚障害・筋力低下20〜40歳代
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