学習トップ理由で解く 柔道整復師柔道整復理論 ▸ §24 臨床実地問題 / QJ33P109

理由で解く 柔道整復師

QJ33P109 柔道整復理論

出典:第33回柔道整復師国家試験(2025)午後 問109
問題
21歳の女性。ソフトボールの試合中、捕球に失敗し右手小指を負傷した。右手小指は背側の皮膚に深い陥凹がみられ、自動的にも他動的にも動かせない。外観写真(別冊 No. 5)を別に示す。考えられるのはどれか。
図
選択肢
1 終止腱断裂
2 中央索断裂
3 基節骨頸部骨折
4 PIP関節背側脱臼
解答
正解4(PIP関節背側脱臼)
解説

自動的にも他動的にも動かせない=弾発性固定であり、脱臼を示す所見である。背側の陥凹を伴う小指の変形とあわせ、PIP関節背側脱臼を考える。

捕球に失敗して指先に軸圧と過伸展が加わると、PIP関節の掌側板が断裂し、中節骨が基節骨の背側へ転位する背側脱臼が生じる。関節面がかみ合わないまま周囲軟部組織の緊張で保持されるため、他動的に動かそうとしても抵抗があって元に戻らない(弾発性固定)。外観は背側の階段状変形と、その近位に生じる陥凹、関節部の腫脹である。腱の断裂や骨折では、痛みは強くても他動運動は可能なので、「他動でも動かせない」ことが脱臼を示す決め手になる。整復後は掌側板の修復のため過伸展を防ぐ肢位で固定し、PIP関節の屈曲拘縮やスワンネック変形の残存に注意して経過をみる。

✓ 4. 正しい
PIP関節背側脱臼
別冊の外観写真では、設問に記された背側の深い陥凹と変形の状態を確認する。弾発性固定(自動でも他動でも動かせない)を伴う点が脱臼に特徴的で、球技で指先に過伸展が強制される受傷機転とも一致する。
✗ 1. 誤り
終止腱断裂
DIP関節が屈曲位となる槌指(マレット指)を呈する。自動伸展はできないが他動的には伸展でき、弾発性固定は生じない。変形の部位もDIP関節であり本例と異なる。
✗ 2. 誤り
中央索断裂
PIP関節屈曲・DIP関節過伸展のボタン穴(ボタンホール)変形を呈する。自動でのPIP伸展は困難でも他動伸展は可能で、弾発性固定は認めない。
✗ 3. 誤り
基節骨頸部骨折
骨折部の変形・異常可動性・軋轢音が主体で、疼痛は強いものの他動運動は可能なことが多い。関節がかみ合わないことで生じる弾発性固定は骨折では説明できない。
ポイント
  • 弾発性固定(自動でも他動でも動かない)は脱臼の決め手。
  • PIP関節背側脱臼は過伸展強制で掌側板が断裂し、中節骨が背側へ転位する。
  • 外観は背側の階段状変形と陥凹、関節部の腫脹。
  • 腱断裂(槌指・ボタン穴変形)や骨折では他動運動が可能。
  • 整復後は過伸展を防ぐ肢位で固定し、屈曲拘縮とスワンネック変形に注意して経過をみる。
比較表
病態変形自動運動他動運動
PIP関節背側脱臼PIPの階段状変形・陥凹不能不能(弾発性固定)
終止腱断裂槌指(DIP屈曲位)DIP伸展不能可能
中央索断裂ボタン穴変形PIP伸展困難可能
基節骨頸部骨折屈曲・回旋変形疼痛で制限可能(異常可動性)
この問題の解説の修正を依頼する

解説に誤り・改善点があればお知らせください。件名と本文は自動入力済みです(編集できます)。お名前・メールアドレスは任意です。送信内容は玄康株式会社(黒澤一弘)に届きます。