学習トップ理由で解く 柔道整復師柔道整復理論 ▸ §19 各論(脱臼) 上肢 / QJ33P089

理由で解く 柔道整復師

QJ33P089 柔道整復理論

出典:第33回柔道整復師国家試験(2025)午後 問89
問題
月状骨脱臼時に発現しうるのはどれか。
選択肢
1 小指球部尺側の感覚脱失
2 感覚障害のない下垂指
3 示指・中指の感覚鈍麻
4 手背橈側の感覚過敏
解答
正解3(示指・中指の感覚鈍麻)
解説

月状骨脱臼は月状骨が掌側へ押し出されて手根管を狭くする損傷。圧迫を受けるのは手根管内を通る正中神経なので、その感覚領域である示指・中指の鈍麻が答えになる。

手関節の過伸展が強制されると、月状骨は橈骨の月状骨窩から掌側へ押し出され、前方へ回転して手根管の中に落ち込む。手根管には正中神経と屈筋腱が通っており、脱臼した月状骨がこれを直接持ち上げるかたちで圧迫する。そのため手根管症候群と同じ分布、すなわち母指・示指・中指と環指の橈側半の掌側にしびれや感覚鈍麻が出る。母指球筋の運動麻痺は遅れて現れることが多く、初期には感覚症状が前面に立つ。神経症状を認めたら早期整復が原則で、速やかに医療機関につなぐ。

✓ 3. 正しい
示指・中指の感覚鈍麻
示指・中指の掌側は正中神経の固有支配に近い領域。手根管内で正中神経が圧迫されるため、この範囲のしびれ・鈍麻が最も出やすい。手関節掌側の膨隆や手指の半屈曲位、手関節の運動制限とあわせて確認する。
✗ 1. 誤り
小指球部尺側の感覚脱失
この領域は尺骨神経(掌枝・手背枝)の支配。尺骨神経は手根管の尺側(内側)にあるギヨン管(尺骨管)という別のトンネルを通るため、月状骨が手根管内へ落ち込んでも第一に圧迫される神経ではない。
✗ 2. 誤り
感覚障害のない下垂指
下垂指(drop finger)で感覚が保たれるのは後骨間神経麻痺の像。後骨間神経は前腕近位の回外筋部で障害されるもので、手関節部の月状骨脱臼では説明できない。
✗ 4. 誤り
手背橈側の感覚過敏
手背橈側は橈骨神経浅枝の支配領域で、この枝は手根管を通らず前腕遠位で皮下に出る。月状骨脱臼の圧迫部位とは経路が異なる。
ポイント
  • 月状骨脱臼は掌側脱臼が原則 → 手根管内の正中神経を圧迫する。
  • 正中神経の感覚領域:母指・示指・中指・環指橈側半の掌側と、示指・中指末節の背側。
  • 局所所見:手関節掌側の膨隆、手指の半屈曲位、手関節運動制限、握力低下。
  • 手関節部のトンネルの位置関係:橈側寄り=手根管(正中神経)/尺側=ギヨン管(尺骨神経)。月状骨が落ち込むのは手根管の側。
  • 切り分け:下垂指(感覚障害なし)=後骨間神経、手背橈側=橈骨神経浅枝、小指球尺側=尺骨神経(ギヨン管)。
  • 神経症状があれば整復を急ぐべき状態。応急固定のうえ速やかに医療機関へ紹介する。
比較表
神経主な感覚領域障害されやすい部位
正中神経母指〜環指橈側半の掌側、示中指末節背側手根管(月状骨脱臼・手根管症候群)
尺骨神経小指と環指尺側半、小指球部・手背尺側肘部管、ギヨン管(手根管の尺側)
橈骨神経浅枝手背橈側、母指背側前腕遠位橈側の皮下
後骨間神経感覚支配はほぼなし前腕近位(回外筋部)=下垂指
この問題の解説の修正を依頼する

解説に誤り・改善点があればお知らせください。件名と本文は自動入力済みです(編集できます)。お名前・メールアドレスは任意です。送信内容は玄康株式会社(黒澤一弘)に届きます。