学習トップ理由で解く 柔道整復師柔道整復理論 ▸ §17 各論(骨折) 下肢 / QJ33P084

理由で解く 柔道整復師

QJ33P084 柔道整復理論

出典:第33回柔道整復師国家試験(2025)午後 問84
問題
大腿骨頸部骨折で正しいのはどれか。
選択肢
1 外転型骨折では下肢長は短縮する。
2 背臥位膝伸展位で下肢挙上は可能である。
3 他動的可動域訓練を中心とした後療法を行う。
4 長期臥床による続発症に深部静脈血栓症がある。
解答
正解4(長期臥床による続発症に深部静脈血栓症がある。)
解説

大腿骨頸部骨折は高齢者の長期臥床に直結し、深部静脈血栓症をはじめとする続発症が大きな問題になる。正しいのは4である。

骨粗鬆症のある高齢者が転倒して受傷することが多く、関節包内である頸部は血行に乏しいため骨癒合が得られにくい。臥床が長引くと深部静脈血栓症・肺血栓塞栓症、沈下性肺炎、褥瘡、尿路感染、認知機能低下といった続発症が重なる。そのため現在は早期手術(骨接合術・人工骨頭置換術)と早期離床が原則で、後療法も疼痛に応じた自動運動と荷重・歩行練習を柱に据える。血栓予防としては足関節の自動底背屈運動、弾性ストッキング、十分な水分摂取を初期から並行して行う。

✗ 1. 誤り
外転型骨折では下肢長は短縮する。
外転型は骨片が外反位で嵌まり込む安定型で、下肢長の短縮はほとんどみられない。明らかな短縮と外旋変形をきたすのは内転型である。
✗ 2. 誤り
背臥位膝伸展位で下肢挙上は可能である。
転位のある頸部骨折では自動下肢伸展挙上(SLR)が不能となるのが典型的な所見である。嵌入型で歩行できる例はあるが、「可能である」と一般化できる所見ではない。
✗ 3. 誤り
他動的可動域訓練を中心とした後療法を行う。
後療法の中心は自動運動と早期離床・荷重練習である。他動運動だけを中心に据えると筋力低下と廃用が進むため、疼痛に合わせて自動運動と起立・歩行練習を段階的に進める。
✓ 4. 正しい
長期臥床による続発症に深部静脈血栓症がある。
下肢の不動で静脈還流が停滞し血栓が形成される。肺血栓塞栓症は致命的になりうるため、早期離床と足関節運動、弾性ストッキング、水分補給で予防する。
ポイント
  • 頸部骨折は関節包内で血行に乏しく、骨癒合不良・骨頭壊死のリスクが高い。
  • 外転型(嵌入型)は安定で短縮が目立たず、内転型は短縮・外旋変形を呈する。
  • 転位例では自動下肢伸展挙上(SLR)が不能となる。
  • 長期臥床の続発症は深部静脈血栓症・肺血栓塞栓症、沈下性肺炎、褥瘡、尿路感染、認知機能低下。
  • 後療法は早期離床と自動運動が柱。足関節の自動底背屈運動で血栓を予防する。
比較表
外転型(外反嵌入型)内転型
骨片の状態嵌入して安定転位して不安定
下肢長短縮はほとんどない短縮する
肢位変形が目立たない外旋位をとる
症状比較的軽く歩行できる例もある疼痛が強く起立困難
予後骨癒合が得られやすい偽関節・骨頭壊死をきたしやすい
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