学習トップ理由で解く 柔道整復師柔道整復理論 ▸ §17 各論(骨折) 下肢 / QJ33P083

理由で解く 柔道整復師

QJ33P083 柔道整復理論

出典:第33回柔道整復師国家試験(2025)午後 問83
問題
骨盤骨裂離骨折の好発年齢はどれか。
選択肢
1 5〜8歳
2 15~18歳
3 25~28歳
4 50~53歳
解答
正解2(15~18歳)
解説

骨盤の裂離骨折は、骨突起(apophysis)の骨端線がまだ閉じていない成長期後半のスポーツ選手に集中する。選択肢では15〜18歳が該当する。

この骨折を理解する鍵は「骨端線は筋腱より弱い」という一点にある。成長期の骨端線(骨突起の成長軟骨)は力学的に脆弱で、腱そのものよりも先に破綻する。そのため、成長期の選手が全力疾走のスタート、キック、ハードル、跳躍などで筋を急激に収縮させると、腱が切れるのではなく、腱が付着する骨突起が骨端線ごと引きはがされる。骨盤周囲では、上前腸骨棘(縫工筋・大腿筋膜張筋)、下前腸骨棘(大腿直筋)、坐骨結節(ハムストリングス)、腸骨稜(腹筋群)、小転子(腸腰筋)が代表的な部位である。これらの骨端核が骨に癒合するのはおおむね20歳前後なので、好発年齢は13〜18歳ころ、選択肢では15〜18歳が最も適合する。骨端線が閉鎖した成人以降は、同じ動作で今度は筋腱移行部が負けて肉ばなれ(自家筋力による筋の損傷)になる。なお肉ばなれは、直達外力(打撲)で筋実質が傷つく筋挫傷とは受傷機序がまったく異なる別の損傷なので、必ず区別して覚える。年齢が変わると同じ機序でも壊れる場所が変わる、という視点で覚えると応用が利く。設問文の表記には乱れがあるが、年齢帯の選択として判断する。

✓ 2. 正しい
15~18歳
骨突起の骨端線が未閉鎖でありながら、骨端を引きはがすほどの強い筋力を発揮できる年代。両条件が重なるため裂離骨折が最も起こりやすい。
✗ 1. 誤り
5〜8歳
骨端線は未閉鎖だが、骨突起を引きちぎるほどの瞬発的筋力を発揮する場面が少ない。この年代の外傷で多いのは上腕骨顆上骨折や前腕骨骨折など、転倒によるもの。
✗ 3. 誤り
25~28歳
骨端線はすでに閉鎖しているため、同じ動作をしても骨ではなく筋腱移行部が負けて肉ばなれ(筋の自家筋力による損傷)となる。直達外力による筋実質の損傷である筋挫傷とは受傷機序が異なるので、混同しないこと。
✗ 4. 誤り
50~53歳
骨端線はとうに閉鎖している年代。この年代の骨盤周囲の骨折は、転倒や交通外傷による骨折、あるいは骨粗鬆症を背景とした脆弱性骨折が中心となる。
ポイント
  • 裂離骨折は骨端線が筋腱より弱い成長期に起こる。好発は13〜18歳ころ
  • 代表部位:上前腸骨棘(縫工筋・大腿筋膜張筋)、下前腸骨棘(大腿直筋)、坐骨結節(ハムストリングス)
  • ほかに腸骨稜(腹筋群)、小転子(腸腰筋)も起こりうる
  • 骨端線閉鎖後(成人)は同じ機序で肉ばなれ(自家筋力による筋腱移行部の損傷)になる
  • 肉ばなれ ≠ 筋挫傷。筋挫傷は直達外力(打撲)による筋実質の損傷で、機序がまったく違う
  • 受傷肢位から損傷筋を推定し、痛みのない範囲で安静と段階的な復帰計画を立てる
比較表
裂離骨折肉ばなれ(筋断裂)筋挫傷
外力の種類自家筋力(介達)自家筋力(介達)直達外力(打撲)
破綻する場所骨突起の骨端線筋腱移行部筋実質(打撲部)
好発年齢成長期(13〜18歳ころ)骨端線閉鎖後の成人年齢を問わない
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