学習トップ理由で解く 柔道整復師整形外科学 ▸ §14 疾患別各論 神経・筋疾患 / QJ33P064

理由で解く 柔道整復師

QJ33P064 整形外科学

出典:第33回柔道整復師国家試験(2025)午後 問64
問題
胸郭出口症候群の徒手検査でないのはどれか。
選択肢
1 スパーリングテスト
2 アドソンテスト
3 モーリーテスト
4 ライトテスト
解答
正解1(スパーリングテスト)
解説

この設問は「胸郭出口症候群の検査でないもの」を選ぶ形式。スパーリングテストは頸椎の椎間孔を狭めて神経根症状を誘発する検査で、頸椎症性神経根症に用いるため、選択肢1が答えになる。

胸郭出口では、前斜角筋と中斜角筋の間(斜角筋三角)、鎖骨と第1肋骨の間(肋鎖間隙)、小胸筋の下(胸筋下間隙)の3か所で腕神経叢と鎖骨下動静脈が絞扼されうる。誘発テストはこの3か所それぞれを狭める肢位に対応しており、アドソン=斜角筋三角、エデン=肋鎖間隙、ライト=胸筋下間隙、モーリーは鎖骨上窩での腕神経叢の直接圧迫、ルーステスト(3分間の挙上開閉運動)は総合的な負荷試験である。なで肩の若い女性や上肢を挙上して作業する人、重量物を持つ人に多く、挙上位で上肢のだるさ・しびれ・脱力が強まる。これらのテストは単独では確実な診断根拠にならないため、頸椎由来か胸郭出口由来かを分けて評価し、姿勢の改善と肩甲帯挙上筋の強化(なで肩・下垂型では僧帽筋上部線維・肩甲挙筋・菱形筋を鍛えて肩甲帯を引き上げ、肋鎖間隙が狭くなるのを防ぐ)の指導につなげる。斜角筋の緊張が強い圧迫型では斜角筋のストレッチを組み合わせる。

✓ 1. これが答え(胸郭出口症候群の検査ではない)
スパーリングテスト
頭部を患側へ回旋・後屈させて上方から圧迫し、椎間孔を狭めて上肢への放散痛を誘発する検査。頸椎症性神経根症や頸椎椎間板ヘルニアの評価に用いる。
✗ 2. 胸郭出口症候群の検査(=答えではない)
アドソンテスト
橈骨動脈に触れながら、頭部を検査側へ回旋・伸展させて深く息を吸って止めさせる。前斜角筋が緊張して斜角筋三角が狭まり、鎖骨下動脈が圧迫されて拍動が減弱すれば陽性。
✗ 3. 胸郭出口症候群の検査(=答えではない)
モーリーテスト
鎖骨上窩で腕神経叢を直接圧迫し、上肢への放散痛やしびれが誘発されれば陽性。斜角筋三角部での神経の過敏性をみる。
✗ 4. 胸郭出口症候群の検査(=答えではない)
ライトテスト
肩を90度外転・外旋し肘を屈曲した肢位をとらせる。小胸筋の下で神経血管束が引き伸ばされて圧迫され、橈骨動脈拍動の減弱やしびれが出れば陽性(過外転症候群の評価)。
ポイント
  • 絞扼部位は3か所。斜角筋三角(アドソン)、肋鎖間隙(エデン)、胸筋下間隙(ライト)。テストと部位を対で覚える。
  • モーリーテストは鎖骨上窩での腕神経叢の直接圧迫、ルーステストは3分間の挙上開閉による負荷試験。
  • スパーリング・ジャクソンは頸椎の椎間孔を狭める検査=神経根症用。胸郭出口症候群の検査群とは目的が違う。
  • 症状は上肢挙上位で悪化するだるさ・しびれ・脱力。なで肩の若い女性や上肢挙上作業の多い人に多い。
  • 対応は姿勢指導と肩甲帯挙上筋(僧帽筋上部・肩甲挙筋・菱形筋)の強化。なで肩・下垂型では肩甲帯を引き上げて肋鎖間隙の狭小化を防ぐのが目的で、これらの筋を「緩める」方向の指導は逆効果になりうる。
  • 斜角筋の緊張が強い圧迫型では斜角筋のストレッチを併用する。重い荷物を長く持たない工夫や作業姿勢の調整も同時に行う。
比較表
テストねらう部位・病態方法陽性所見
アドソン斜角筋三角(前斜角筋症候群)頭部を検査側へ回旋・伸展、深吸気で息こらえ橈骨動脈拍動の減弱
エデン肋鎖間隙(肋鎖症候群)胸を張り肩を後下方へ引く橈骨動脈拍動の減弱
ライト胸筋下間隙(過外転症候群)肩90度外転・外旋、肘屈曲橈骨動脈拍動の減弱、しびれ
モーリー鎖骨上窩の腕神経叢鎖骨上窩を直接圧迫上肢への放散痛・しびれ
スパーリング頸椎椎間孔(神経根症)頭部を患側へ回旋・後屈して圧迫患側上肢への放散痛
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