学習トップ理由で解く 柔道整復師整形外科学 ▸ §13 疾患別各論 四肢循環障害 / QJ33P063

理由で解く 柔道整復師

QJ33P063 整形外科学

出典:第33回柔道整復師国家試験(2025)午後 問63
問題
深部静脈血栓症でみられるのはどれか。
選択肢
1 足爪の変形
2 チアノーゼ
3 上下肢の血圧差
4 ホーマンズ徴候
解答
正解4(ホーマンズ徴候)
解説

深部静脈血栓症は下肢の深部静脈が血栓で閉塞する病態で、腓腹部の腫れと痛みが中心となる。足関節を背屈させると腓腹部に痛みが出るホーマンズ徴候が古典的な所見である。

血栓形成には血流のうっ滞・血管内皮障害・血液凝固能亢進というウィルヒョウの三徴が関わり、下肢の骨折や手術、ギプス固定、長期臥床、長時間の同一姿勢(いわゆるエコノミークラス症候群)が典型的な誘因になる。閉塞側の下腿は腫脹して熱感・緊満感・把握痛を伴い、左右の周径差が重要な手がかりとなる。最も怖いのは血栓が遊離して肺動脈を閉塞する肺血栓塞栓症で、突然の呼吸困難・胸痛・失神は緊急事態である。固定や臥床の期間中は足関節の自動運動と早期離床、弾性ストッキング、十分な水分摂取で予防し、片側の下腿腫脹と痛みを認めたら患部をもんだり強く圧迫したりせず、速やかに医療機関へつなぐ。

✓ 4. 正しい
ホーマンズ徴候
膝を伸展位に保って足関節を他動的に背屈させると、腓腹部の深部静脈が伸張・圧迫されて疼痛が誘発される。同じく腓腹部をカフで圧迫して痛みが出るロベンベルグ徴候とあわせて覚える。
✗ 1. 誤り
足爪の変形
慢性的な動脈血行障害(閉塞性動脈硬化症など)や爪白癬でみられる所見。急性に生じる静脈の閉塞では、爪のような時間をかけて変化する組織の所見は出ない。
✗ 2. 誤り
チアノーゼ
皮膚が青紫に見えるのは、動脈血の酸素化低下や高度の末梢循環障害を反映する所見。深部静脈血栓症で典型的なのは発赤・熱感を伴う腫脹であり、静脈還流がほぼ完全に途絶した重症例(有痛性青股腫)を除いて前面には出ない。
✗ 3. 誤り
上下肢の血圧差
大動脈縮窄症や大動脈解離、鎖骨下動脈の狭窄など、動脈系の病態を評価するための所見である。
ポイント
  • 成因はウィルヒョウの三徴(血流うっ滞・血管内皮障害・凝固能亢進)。下肢の外傷・手術・ギプス固定・長期臥床が誘因。
  • 所見は片側下腿の腫脹・熱感・発赤・把握痛と左右の周径差。ホーマンズ徴候(膝伸展位で足関節背屈→腓腹部痛)が古典的。
  • 最大の合併症は肺血栓塞栓症。突然の呼吸困難・胸痛・失神は救急対応が必要。
  • 予防は足関節の自動運動(足趾・足関節の底背屈)、早期離床、弾性ストッキング、水分補給。
  • 疑ったら患部をもまない・強く圧迫しない。安静のうえ速やかに医療機関へ紹介する(Dダイマー、下肢静脈エコーで評価)。
比較表
深部静脈血栓症(静脈系)閉塞性動脈硬化症など(動脈系)
主症状片側下腿の腫脹・重だるさ・把握痛間欠跛行、安静時痛
皮膚の色・温度発赤、熱感蒼白・チアノーゼ、冷感
末梢動脈拍動触れる減弱・消失
特徴的所見ホーマンズ徴候、ロベンベルグ徴候足爪の変形、脱毛、潰瘍・壊疽、ABI低下
重大な合併症肺血栓塞栓症下肢の壊疽・切断
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