学習トップ理由で解く 柔道整復師整形外科学 ▸ §14 疾患別各論 神経・筋疾患 / QJ24P055

理由で解く 柔道整復師

QJ24P055 整形外科学

出典:第24回柔道整復師国家試験(2016)午後 問55
問題
脊髄損傷で正しいのはどれか。
選択肢
1 第5頸髄節損傷で呼吸不能となる。
2 脊髄ショックの間は痙性麻痺となる。
3 胸髄完全損傷では片麻痺となる。
4 フランケル分類Dでは歩行可能である。
解答
正解4(フランケル分類Dでは歩行可能である。)
解説

脊髄損傷の重症度を表すフランケル(Frankel)分類では、Dは「実用的に使える運動機能が残り、補助具の有無を問わず歩行できる」段階を指す。正答は4。

頸髄損傷で呼吸が問題になるのは、横隔膜を動かす横隔神経がC3〜C5(主にC4)から出るためで、自発呼吸そのものが失われるのはC3以上(C4より上位)の損傷である。C3が完全に損傷されればC4・C5へ向かう線維も遮断されるため横隔膜は麻痺し、人工呼吸管理が必要になる。また受傷直後には「脊髄ショック」といって損傷高位以下の反射がすべて消える時期があり、この間は弛緩性麻痺を示し、数日から数週かけて反射が戻るにつれて痙性麻痺へ移行する。麻痺の広がりは損傷高位で決まり、頸髄なら四肢麻痺、胸髄以下なら両下肢の対麻痺となる。フランケル分類はA(完全麻痺)からE(正常)までの5段階で、C(運動は残るが実用性なし)とD(実用的で歩行可能)の境目が繰り返し問われる。

✓ 4. 正しい
フランケル分類Dでは歩行可能である。
Dは損傷高位以下に実用的な運動機能が残った状態で、装具や杖を使ってでも歩行できることが定義に含まれる。Cとの分かれ目は「残った筋力が日常生活で実際に役立つかどうか」であり、筋収縮があるだけで立てないならCにとどまる。
✗ 1. 誤り
第5頸髄節損傷で呼吸不能となる。
横隔膜はC3〜C5に由来する横隔神経の支配なので、C5節の損傷でも横隔膜の働きは残り、腹式呼吸による自発呼吸は保たれる。呼吸が不能となり人工呼吸管理を要するのはC3以上(C1〜C3)の損傷で、C4損傷でも呼吸予備力は著しく低下する。またC5でも肋間筋は麻痺して咳嗽力が落ちるため、排痰と呼吸状態の観察は継続して行う。
✗ 2. 誤り
脊髄ショックの間は痙性麻痺となる。
関係が逆である。脊髄ショック期は損傷高位以下の反射がすべて消え、弛緩性麻痺・腱反射消失・尿閉を示す。球海綿体反射などの回復が脊髄ショック離脱の目安で、それ以降に腱反射亢進や病的反射といった痙性麻痺の像が現れる。
✗ 3. 誤り
胸髄完全損傷では片麻痺となる。
胸髄には左右両側の下肢を支配する伝導路が通るため、完全損傷では両下肢の対麻痺となる。片麻痺は大脳など脳側の一側性病変で生じる。脊髄で左右差が出るのは半側損傷(ブラウン・セカール症候群)のときで、これも病側の運動麻痺と反対側の温痛覚障害という形をとり、片麻痺とは呼ばない。
ポイント
  • フランケル分類 A完全麻痺/B知覚のみ残存/C運動は残るが実用性なし/D実用的で歩行可能/E正常
  • 横隔神経はC3〜C5(主にC4)由来。自発呼吸が失われるのはC3以上(C1〜C3)の損傷
  • 脊髄ショック期は弛緩性麻痺・反射消失・尿閉。回復後に痙性麻痺へ移行する
  • 頸髄損傷=四肢麻痺、胸髄以下の損傷=対麻痺
  • 高位頸髄損傷では呼吸・排痰の管理を最優先に、体位変換と気道確保を継続する
比較表
フランケル分類運動知覚歩行
A完全麻痺完全麻痺不可
B完全麻痺一部残存不可
C残存するが実用性なし残存不可
D実用的に残存残存可能(補助具可)
E正常正常可能
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