学習トップ理由で解く 柔道整復師整形外科学 ▸ §23 部位別各論 下腿・足関節 / QJ24P056

理由で解く 柔道整復師

QJ24P056 整形外科学

出典:第24回柔道整復師国家試験(2016)午後 問56
問題
アキレス腱断裂で正しいのはどれか。
選択肢
1 下腿三頭筋の遠心性収縮時に生じる。
2 アキレス腱周囲炎から移行する。
3 好発年齢は20歳代である。
4 断裂後は歩行できない。
解答
正解1(下腿三頭筋の遠心性収縮時に生じる。)
解説

アキレス腱断裂は、踏み切りや着地で足関節が背屈方向へ押し戻されながら下腿三頭筋が収縮する瞬間、すなわち遠心性収縮の局面で起こる。正答は1。

腱そのものは30歳代以降に変性が進み、血流に乏しい踵骨付着部の約2〜6cm近位が力学的な弱点になる。ここに急激な張力が加わって断裂する。受傷時には「後ろから蹴られた」「棒で叩かれた」ような感覚と断裂音を訴え、腱の連続性が絶たれて陥凹を触れる。底屈は長母趾屈筋・長趾屈筋・後脛骨筋・腓骨筋群が代償するため、つま先立ちはできなくても平地歩行はできてしまい、これが見逃しの原因となる。腹臥位で下腿三頭筋を握っても足関節が底屈しないトンプソン(Thompson)テストが陽性なら断裂を強く疑い、腫脹を抑えながら速やかに整形外科へつなぐ。

✓ 1. 正しい
下腿三頭筋の遠心性収縮時に生じる。
筋が引き伸ばされながら力を出す遠心性収縮では、腱にかかる張力が最も大きくなる。ダッシュの踏み切り、ジャンプの着地、急な方向転換で足関節が強制的に背屈させられる瞬間が典型的な受傷場面である。
✗ 2. 誤り
アキレス腱周囲炎から移行する。
アキレス腱周囲炎は腱を包む腱傍組織(パラテノン)の炎症で、運動時痛や軋轢音を主症状とする別の病態である。断裂の下地となるのは腱実質そのものの加齢変性であり、腱周囲炎が進行して断裂に至るという関係ではない。ただし慢性の腱痛が続くときは、腱の状態を画像で評価しておくと安全である。
✗ 3. 誤り
好発年齢は20歳代である。
好発は30〜50歳代である。腱の変性が進む一方で、休日のスポーツやレクリエーションで久しぶりに全力動作を行う年代であることが重なる。20歳代では腱の質が保たれており、相対的に少ない。
✗ 4. 誤り
断裂後は歩行できない。
底屈に働く筋は下腿三頭筋だけではないため、跛行はあっても平地歩行は可能なことが多い。「歩けるから断裂ではない」と判断せず、つま先立ちができるか、腱に陥凹を触れるか、トンプソンテストはどうかを順に確かめる。
ポイント
  • 受傷機序は足関節の背屈強制+下腿三頭筋の遠心性収縮
  • 好発年齢は30〜50歳代のスポーツ愛好者
  • 好発部位は踵骨付着部の約2〜6cm近位(血流に乏しい部位)
  • 断裂しても平地歩行は可能。つま先立ち不能と腱の陥凹が手がかり
  • トンプソンテスト陽性なら断裂を疑い、腫脹を抑えたうえで整形外科へつなぐ
比較表
アキレス腱断裂アキレス腱周囲炎
発症急激(受傷の瞬間が明確)緩徐(使いすぎで徐々に)
好発年齢30〜50歳代年齢を問わずランナーなど
主症状断裂音・激痛・つま先立ち不能運動時痛・腫脹・軋轢音
触診腱に陥凹を触れる腱の連続性は保たれる
トンプソンテスト陽性(底屈しない)陰性
歩行跛行はあるが可能可能
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