学習トップ理由で解く 柔道整復師整形外科学 ▸ §14 疾患別各論 神経・筋疾患 / QJ24P059

理由で解く 柔道整復師

QJ24P059 整形外科学

出典:第24回柔道整復師国家試験(2016)午後 問59
問題
筋萎縮性側索硬化症でみられないのはどれか。
選択肢
1 病的反射
2 嚥下障害
3 感覚障害
4 呼吸障害
解答
正解3(感覚障害)
解説

筋萎縮性側索硬化症(ALS)は運動ニューロンだけが選択的に障害される疾患で、感覚は保たれる。したがってみられないのは3。

ALSでは上位運動ニューロン障害(腱反射亢進、痙縮、バビンスキー徴候などの病的反射)と、下位運動ニューロン障害(筋萎縮、線維束性収縮、脱力)が同時に現れるのが特徴である。延髄の運動核が侵されれば球麻痺として構音障害・嚥下障害が出現し、進行すれば呼吸筋麻痺に至る。一方で終末期近くまで侵されにくい機能が「四大陰性徴候」としてまとめられており、感覚障害・膀胱直腸障害・眼球運動障害・褥瘡がこれに当たる。感覚と知的機能が保たれているということは、体位や接触の不快感が本人にきちんと伝わっているということでもあるので、意思疎通の手段を確保したうえで関わることが大切になる。

✓ 3. これが答え(みられない)
感覚障害
感覚を伝える後索や脊髄視床路、後根神経節は障害されないため、感覚は保たれる。四大陰性徴候の筆頭である。しびれや感覚低下を訴える例では、頸椎症性脊髄症など別の病態が併存していないかを考える手がかりになる。
✗ 1. みられる(答えではない)
病的反射
錐体路である上位運動ニューロンが障害されるため、腱反射亢進や痙縮に加えて、バビンスキー徴候・ホフマン徴候などの病的反射が出現する。筋萎縮があるのに腱反射が亢進するという一見矛盾した組合せこそがALSらしい所見である。
✗ 2. みられる(答えではない)
嚥下障害
延髄の運動核が障害される球麻痺により、構音障害、舌の萎縮と線維束性収縮、嚥下障害が現れる。誤嚥性肺炎を防ぐため、食形態の工夫や食事姿勢の調整、口腔ケアを多職種で行う。
✗ 4. みられる(答えではない)
呼吸障害
横隔膜や肋間筋を支配する運動ニューロンが障害され、進行すると呼吸不全に至る。予後を最も大きく左右する症状であり、非侵襲的陽圧換気などの呼吸管理を本人・家族と相談しながら準備していく。
ポイント
  • ALSは上位運動ニューロンと下位運動ニューロンの両方が選択的に変性する
  • 四大陰性徴候=感覚障害・膀胱直腸障害・眼球運動障害・褥瘡
  • 上位徴候(腱反射亢進・病的反射)と下位徴候(筋萎縮・線維束性収縮)が併存する
  • 球麻痺症状(構音・嚥下障害)と呼吸筋麻痺が経過を決める
  • 感覚と知的機能は保たれる前提で、意思疎通の手段と誤嚥予防を整える
比較表
ALSでみられるALSでみられにくい(四大陰性徴候)
筋萎縮・線維束性収縮(下位)感覚障害
腱反射亢進・病的反射・痙縮(上位)膀胱直腸障害
構音障害・嚥下障害(球麻痺)眼球運動障害
呼吸筋麻痺褥瘡
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