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理由で解く 柔道整復師

QJ33P052 外科学概論

出典:第33回柔道整復師国家試験(2025)午後 問52
問題
脳死と臓器移植で正しいのはどれか。2つ選べ。
選択肢
1 脳死とは脳幹を含む全脳の不可逆的な機能喪失の状態である。
2 家族の同意があれば脳死下の臓器摘出は可能である。
3 臓器移植の急性拒絶反応の時期は 3週以内である。
4 心臓移植の1年生存率は70~80%である。
解答
正解1(脳死とは脳幹を含む全脳の不可逆的な機能喪失の状態である。)、2(家族の同意があれば脳死下の臓器摘出は可能である。)
解説

2つ選ぶ問題です。脳死は脳幹を含む全脳の不可逆的な機能喪失であり、現行の臓器移植法では本人の意思が不明でも家族の承諾で脳死下の臓器提供ができます。この1と2が正しい記述です。

日本では2010年に全面施行された改正臓器移植法により、本人が提供を拒否する意思を示していない限り、家族の書面による承諾で脳死下の臓器提供が可能になりました。これにより15歳未満からの提供にも道が開かれています。法的脳死判定は、深昏睡、瞳孔の固定・散大、脳幹反射の消失、平坦脳波、自発呼吸の消失という5項目を、移植に関わらない2人以上の専門医が6時間以上(6歳未満は24時間以上)の間隔をあけて2回確認することで行われます。移植後の経過については、拒絶反応が起こる時期と、移植成績のおおよその水準をあわせて押さえておきましょう。

✓ 1. 正しい
脳死とは脳幹を含む全脳の不可逆的な機能喪失の状態である。
大脳だけでなく、呼吸・循環の中枢がある脳幹まで機能を失った状態を指します。だから自発呼吸がなく、人工呼吸器がなければ必ず心停止に至ります。脳幹機能が保たれて自発呼吸のある遷延性意識障害(いわゆる植物状態)とは、この点で明確に区別されます。
✓ 2. 正しい
家族の同意があれば脳死下の臓器摘出は可能である。
改正臓器移植法により、本人の書面による意思表示がなくても、本人が拒否の意思を示しておらず家族が書面で承諾すれば、脳死下での臓器提供が可能です。もちろん本人の意思表示がある場合はそれが尊重されます。
✗ 3. 誤り
臓器移植の急性拒絶反応の時期は 3週以内である。
急性拒絶反応はT細胞を主体とする細胞性免疫が中心で、術後1週から3か月ごろに起こるのが典型です。免疫抑制薬が不十分になればそれ以降に生じることもあり、「3週以内」では時期を狭くとらえすぎています。なお数分〜24時間以内に起こるのは既存抗体による超急性拒絶反応、数か月〜数年かけて血管病変と線維化が進むのが慢性拒絶反応です。
✗ 4. 誤り
心臓移植の1年生存率は70~80%である。
近年の日本の心臓移植の1年生存率は9割を超える水準にあり、海外の国際登録でも85〜90%程度と報告されています。免疫抑制療法とドナー管理の進歩により成績は向上しており、70〜80%は実際より低い見積りです。
ポイント
  • 脳死=脳幹を含む全脳の不可逆的機能喪失。自発呼吸がなく人工呼吸器なしには心停止に至る。
  • 遷延性意識障害(植物状態)は脳幹機能が残り自発呼吸がある点で脳死と異なる。
  • 改正臓器移植法により、本人が拒否していなければ家族の承諾で脳死下臓器提供が可能。15歳未満も対象。
  • 法的脳死判定は5項目を2人以上の専門医が6時間以上(6歳未満は24時間以上)あけて2回確認。
  • 心臓移植の1年生存率は近年9割前後と良好(70〜80%では低すぎる)。
比較表
拒絶反応時期主な機序
超急性数分〜24時間以内既存の抗ドナー抗体+補体
急性術後1週〜3か月が中心T細胞を主体とする細胞性免疫
慢性数か月〜数年血管内膜肥厚・線維化
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