学習トップ理由で解く 柔道整復師外科学概論 ▸ §8 手術 / QJ33P051

理由で解く 柔道整復師

QJ33P051 外科学概論

出典:第33回柔道整復師国家試験(2025)午後 問51
問題
姑息的手術でないのはどれか。
選択肢
1 鼠径ヘルニアに対する前方修復術
2 直腸癌に対する人工肛門造設術
3 幽門狭窄に対する胃腸吻合術
4 脳圧亢進に対するシャント術
解答
正解1(鼠径ヘルニアに対する前方修復術)
解説

姑息的手術は病巣を残したまま、症状や機能を改善する手術です。鼠径ヘルニアの前方修復術はヘルニア門そのものを閉じる根治手術なので、これが「姑息的手術でないもの」にあたります。

手術は目的によって、病巣そのものを取り除く根治手術と、病巣は残しつつ生命やQOLを脅かす症状を取り除く姑息的(緩和的)手術に大別されます。バイパス手術、人工肛門造設、シャント術、ステント留置などが後者の代表で、進行癌や全身状態のために根治術ができない場合、あるいは根治術までのつなぎとして選ばれます。判断の物差しはただ一つ、「原因そのものを断っているか」です。この問いを各選択肢に当てはめれば、暗記に頼らず正解にたどり着けます。

✓ 1. これが答え(姑息的手術ではない)
鼠径ヘルニアに対する前方修復術
鼠径ヘルニアの原因は鼠径管後壁のゆるみ、すなわちヘルニア門です。前方から到達してこの部位を補強・閉鎖する術式は、腸管が脱出する原因そのものを断っているので根治手術にあたります。メッシュを用いる方法などがあり、再発率も低く抑えられます。
✗ 2. 姑息的手術(答えではない)
直腸癌に対する人工肛門造設術
癌そのものは残したまま、口側の腸管を体表に導いて便の通り道を確保する手術です。腸閉塞による腹痛・嘔吐を回避して食事や生活を可能にする目的なので、姑息的手術に分類されます(癌の切除と同時に造設する場合は根治術の一部となります)。
✗ 3. 姑息的手術(答えではない)
幽門狭窄に対する胃腸吻合術
狭窄した幽門部を切除せず、胃と空腸をつないで食物の迂回路をつくる手術です。狭窄そのものは残るため根治ではありませんが、経口摂取が可能になり栄養状態と生活の質が改善します。
✗ 4. 姑息的手術(答えではない)
脳圧亢進に対するシャント術
髄液を腹腔や心房へ逃がす経路をつくり、頭蓋内圧を下げる手術です。頭痛や意識障害、脳ヘルニアの危険を回避できますが、髄液の通過障害や産生過剰といった原因は残るため姑息的手術です。
ポイント
  • 根治手術=病巣そのものを取り除く。姑息的手術=病巣を残し症状・機能を改善する。
  • 見分け方は「原因を断っているか」の一点で判断する。
  • 姑息的手術の代表はバイパス(胃腸吻合など)、人工肛門造設、シャント術、ステント留置。
  • 鼠径ヘルニア修復術はヘルニア門を閉鎖するので根治手術。
  • 姑息的手術でも、症状の除去によりQOLと全身状態が改善し、次の治療につながることがある。
比較表
根治手術姑息的(緩和的)手術
目的病巣の完全な除去症状の除去・機能の確保
病巣取り除く残る
鼠径ヘルニア修復術、癌の根治切除人工肛門造設、胃腸吻合(バイパス)、シャント術
選ばれる場面切除可能で全身状態が耐えうる進行癌・全身状態不良・通過障害の回避
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