学習トップ理由で解く 柔道整復師外科学概論 ▸ §7 滅菌法と消毒法 / QJ33P050

理由で解く 柔道整復師

QJ33P050 外科学概論

出典:第33回柔道整復師国家試験(2025)午後 問50
問題
消毒と滅菌で誤っているのはどれか。
選択肢
1 光学レンズはガス滅菌を行う。
2 微生物によって消毒薬の適用が異なる。
3 イソプロパノールは粘膜の消毒に用いる。
4 オートクレーブは高圧蒸気滅菌装置である。
解答
正解3(イソプロパノールは粘膜の消毒に用いる。)
解説

イソプロパノールは皮膚と器具の消毒に使う薬剤で、刺激が強いため粘膜には用いません。

アルコール類はタンパク質を変性させ、細胞膜の脂質を溶かして微生物を殺します。この作用は微生物だけを選んで働くわけではないので、角層に守られていない粘膜や損傷皮膚に使うと強い痛みと組織障害を招きます。粘膜にはポビドンヨードやベンザルコニウム塩化物など、粘膜への適用が認められた薬剤を選びます。またイソプロパノールはエタノールに比べてエンベロープをもたないウイルスへの効果が弱いことも知っておくと、薬剤選択の理由づけになります。消毒と滅菌の問題は「何を殺すか(対象微生物)」と「どこに使うか・何を処理するか(対象物)」の二軸で整理すると迷いません。

✓ 3. これが誤り(答え)
イソプロパノールは粘膜の消毒に用いる。
イソプロパノール(消毒用イソプロパノール、約70%)の適用は健常皮膚と医療器具です。粘膜や創面に用いると刺激と組織障害を起こすため、口腔・膣・眼周囲などにはポビドンヨードなど粘膜に使える薬剤を選択します。なお日本薬局方では「消毒用エタノール」と「消毒用イソプロパノール」は別の薬剤として収載されており、同じものではありません。
✗ 1. 正しい記述(答えではない)
光学レンズはガス滅菌を行う。
内視鏡などの光学機器は、高圧蒸気滅菌の高温と水蒸気でレンズの曇り、接着剤や樹脂部品の劣化を起こします。そのため酸化エチレンガス(EOG)滅菌や過酸化水素低温プラズマ滅菌といった低温法を用います。EOGには残留毒性があるので、使用前に十分なエアレーション(換気)を行う点までが手順です。
✗ 2. 正しい記述(答えではない)
微生物によって消毒薬の適用が異なる。
微生物には消毒薬への抵抗性の序列があり、芽胞が最も強く、次いで結核菌、エンベロープをもたないウイルスと続き、一般細菌やエンベロープをもつウイルスは比較的弱い部類です。この序列に応じて消毒薬は高水準・中水準・低水準に分類されるため、想定される微生物と使用部位から薬剤を選ぶ必要があります。
✗ 4. 正しい記述(答えではない)
オートクレーブは高圧蒸気滅菌装置である。
オートクレーブは飽和水蒸気を圧力下で作用させる装置で、およそ2気圧・121℃で20分といった条件により芽胞を含むすべての微生物を死滅させます。金属器具、リネン、ガラス器具に適する一方、熱や湿気に弱い光学機器やプラスチック製品には使えません。
ポイント
  • イソプロパノールは皮膚・器具用。粘膜や損傷皮膚には刺激が強く用いない。
  • 消毒用エタノールと消毒用イソプロパノールは別の薬剤。イソプロパノールはエンベロープをもたないウイルスに弱い。
  • 粘膜の消毒にはポビドンヨードなど、粘膜適用のある薬剤を選ぶ。
  • 熱に弱い光学機器はEOGガス滅菌や低温プラズマ滅菌。EOGは使用前にエアレーションが必要。
  • オートクレーブ=高圧蒸気滅菌(約121℃・2気圧・20分)で芽胞まで殺滅。
  • 微生物の抵抗性は芽胞>結核菌>エンベロープなしウイルス>一般細菌の順。これに応じて高・中・低水準を使い分ける。
比較表
方法・薬剤主な対象特徴・注意
高圧蒸気滅菌(オートクレーブ)金属器具・リネン・ガラス芽胞まで殺滅。熱に弱い物には不可
酸化エチレンガス滅菌光学機器・プラスチック低温で処理可。残留毒性のためエアレーション必須
イソプロパノール・エタノール健常皮膚・器具表面粘膜・損傷皮膚には用いない
ポビドンヨード皮膚・粘膜・創部粘膜に使用可。ヨード過敏に注意
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