学習トップ / 理由で解く 柔道整復師 / 外科学概論 ▸ §8 手術 / QJ30P051
理由で解く 柔道整復師
人工血管の吻合には、時間が経っても強度が落ちない非吸収性のモノフィラメント糸(ポリプロピレンなど)を用いる。吸収性縫合糸を用いるという記述が誤りにあたる。
吸収性縫合糸は体内で加水分解などにより分解され、数週から数か月で強度を失う。自己組織どうしを縫う消化管や皮下では、治癒した組織が強度を引き受けるため異物が残らない利点になる。しかし人工血管は生体組織のように癒合しないので、糸が吸収されると吻合部を保持するものがなくなり、出血や仮性動脈瘤といった破綻につながるおそれがある。そのため血管吻合には非吸収性のモノフィラメント糸を連続縫合で用いるのが標準とされる。結紮では、最初の結節を二重に巻く外科結び(surgeon's knot)が摩擦で緩みにくく、いわゆる縦結び(女結び)はほどけやすいと一般に説明される。抜糸は、血流が豊富で治癒が早くかつ整容が重視される顔面が早め、緊張のかかる体幹・四肢は遅めに設定する。目安は顔面3〜5日、頸部4〜6日、体幹・上肢7日前後、下肢や関節をまたぐ部位10〜14日である。
| 吸収性縫合糸 | 非吸収性縫合糸 | |
|---|---|---|
| 体内での変化 | 加水分解などで分解、数週〜数か月で強度が消失 | 強度が長期に保たれる |
| 主な用途 | 消化管、皮下、粘膜など自己組織が治癒する部位 | 血管吻合、人工物の固定、皮膚(抜糸前提) |
| 利点 | 抜糸不要、異物が残らない | 強度が落ちず吻合部を長期に保持 |
| 人工血管に使うと | 吸収後に吻合部が破綻しうる(出血・仮性動脈瘤) | 標準的な選択 |
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