学習トップ理由で解く 柔道整復師リハビリテーション医学 ▸ §5 リハビリテーションの治療 / QJ33P018

理由で解く 柔道整復師

QJ33P018 リハビリテーション医学

出典:第33回柔道整復師国家試験(2025)午後 問18
問題
脳卒中後の歩行訓練で使用する長下肢装具の主な目的はどれか。
選択肢
1 腰痛の軽減
2 脚長差の補正
3 下肢の筋力強化
4 膝および足関節の安定化
解答
正解4(膝および足関節の安定化)
解説

長下肢装具は膝関節と足関節をまたぐ装具で、目的は膝折れと内反尖足を外から抑えて支持性を確保することにある。それによって立位・歩行練習そのものを成立させる。

脳卒中発症直後の重度片麻痺では、麻痺側に体重を乗せると膝が伸展位を保てずに崩れ(膝折れ)、足関節も内反尖足となって足底が安定して接地しない。この状態では立つことも一歩を出すこともできないため、練習の入口に立てない。長下肢装具は膝と足関節を他動的に支えることで支持基底面を確保し、麻痺側に荷重した状態での立位・歩行練習を可能にする。抗重力位をとること自体が麻痺側への荷重感覚の入力となり、廃用の進行を防ぐ意味も大きい。回復に伴って膝の支持が不要になれば短下肢装具へ切り替え、さらに改善すれば装具を外す方向へ段階的に減らしていく。

✓ 4. 正しい
膝および足関節の安定化
長下肢装具は大腿部から足部までを覆い、膝継手と足継手で両関節を制御する。膝折れを防ぎ、足関節を背屈中間位付近に保って内反尖足を抑えることで、麻痺側での荷重が可能になる。この安定化があって初めて、早期からの立位・歩行練習という本来の狙いが実現する。
✗ 1. 誤り
腰痛の軽減
腰部の支持や運動制限を目的とするのは、軟性コルセットやジュエット型装具などの体幹装具である。長下肢装具は膝関節と足関節をまたぐ構造で腰椎には作用しない。腰痛があるなら体幹装具や姿勢指導で別に対応する。
✗ 2. 誤り
脚長差の補正
脚長差には靴の補高やインソールで対応する。長下肢装具の目的は関節の制動であり、補高は主目的ではない。
✗ 3. 誤り
下肢の筋力強化
装具は外から支える道具であり、それ自体が筋を鍛えるものではない。ただし装具によって立位・歩行練習が可能になり、その練習を通じて活動量と筋活動が増える結果は生じる。装具の目的(支持性の確保)と、練習を重ねた結果(機能改善)を分けて捉えたい。
ポイント
  • 長下肢装具(KAFO)は膝関節+足関節をまたぐ。目的は膝折れと内反尖足の制御、すなわち支持性の確保。
  • 脳卒中では急性期の重度麻痺に用い、早期から立位・歩行練習を始めるための道具として位置づける。
  • 回復に応じて長下肢装具→短下肢装具→装具なしへ段階的に減らす(カットダウン)。
  • 短下肢装具(AFO)は足関節のみを制御。膝の支持が不要で下垂足・内反が残る段階で用いる。
  • 装具は筋力強化の道具ではなく練習を成立させる道具。装具のもとで反復した動作が機能改善につながる。
比較表
装具またぐ関節主な目的
長下肢装具(KAFO)膝関節・足関節膝折れと内反尖足の制御による支持性の確保
短下肢装具(AFO)足関節下垂足・内反の制御、足底の安定した接地
体幹装具(軟性コルセット、ジュエット型など)腰椎・胸腰椎体幹の支持、運動制限、腰痛の軽減
補高(靴・インソール)脚長差の補正
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