学習トップ理由で解く 柔道整復師生理学 ▸ §5 消化と吸収 / QJ33A103

理由で解く 柔道整復師

QJ33A103 生理学

出典:第33回柔道整復師国家試験(2025)午前 問103
問題
胆汁で正しいのはどれか。
選択肢
1 胆汁酸は胆嚢で合成される。
2 セクレチンは胆汁排泄を抑制する。
3 コレシストキニンは胆汁排泄を促進する。
4 胆汁酸はタンパク質とミセルを形成する。
解答
正解3(コレシストキニンは胆汁排泄を促進する。)
解説

脂肪が十二指腸に届いた合図で出るコレシストキニン(CCK)は、胆嚢を収縮させOddi括約筋をゆるめます。つまり胆汁を腸へ送り出す=排泄を促進する側のホルモンです。

胆汁は肝細胞でつくられ、胆汁酸・胆汁色素(ビリルビン)・コレステロール・リン脂質・電解質を含みます。空腹時は胆嚢に蓄えられ、水分が抜けて濃縮されます。食後、脂肪やタンパク質の分解産物が十二指腸に入ると粘膜のI細胞からCCKが分泌され、胆嚢平滑筋の収縮とOddi括約筋の弛緩が同時に起こって胆汁が十二指腸へ流れます(CCKは膵酵素の分泌も高めます)。一方、酸性の胃内容が十二指腸に届くとS細胞からセクレチンが出て、膵管や胆管の上皮から重炭酸イオンに富む水分の分泌を増やし、腸内を中和します。腸へ出た胆汁酸は脂肪を乳化し、脂肪の消化産物とミセルをつくって吸収を助けたのち、回腸末端で再吸収されて門脈から肝臓へ戻ります(腸肝循環)。「つくるのは肝、ためるのは胆嚢、出させるのはCCK、薄めて中和するのがセクレチン」と役割で仕分けると、選択肢の真偽が一つずつ決まります。

✓ 3. 正しい
コレシストキニンは胆汁排泄を促進する。
CCKは脂肪・タンパク質の分解産物が十二指腸に入ることで分泌され、胆嚢を収縮させると同時にOddi括約筋を弛緩させて、蓄えられた胆汁を十二指腸へ送り出します。名称そのものが「胆嚢を動かすもの」を意味しており、膵酵素分泌の促進も併せて覚えると、脂肪消化の準備が一そろいで理解できます。
✗ 1. 誤り
胆汁酸は胆嚢で合成される。
※この選択肢は原文に表記の乱れがあります(「胆薬」は「胆嚢」と読むのが自然です)。ただし読み方が確定しなくても、胆汁酸の合成の場は肝細胞であるという一点で誤りと判定できます。
胆汁酸をつくるのは肝細胞で、材料はコレステロールです。胆道系(胆嚢・胆管)は合成の場ではなく、貯蔵・濃縮・輸送を担います。合成の場所と貯蔵の場所を分けて覚え、さらに回腸末端での再吸収(腸肝循環)まで一本の流れでたどると、胆汁酸の出どころを取り違えません。
✗ 2. 誤り
セクレチンは胆汁排泄を抑制する。
向きが逆です。セクレチンは酸性の胃内容が十二指腸に入ると分泌され、膵管・胆管の上皮細胞から重炭酸イオンに富むアルカリ性の液の分泌を増やします。胆汁については量を増やす(水分・重炭酸を加える)働きで、抑える側ではありません。セクレチンは「酸を中和する係」、CCKは「消化液を出させる係」と役割で覚えると混同を防げます。
✗ 4. 誤り
胆汁酸はタンパク質とミセルを形成する。
ミセルを組む相手は脂質です。胆汁酸は脂肪を乳化して表面積を広げ、脂肪酸・モノアシルグリセロール・コレステロール・脂溶性ビタミン(A・D・E・K)を取り込んだミセルをつくって、小腸上皮からの吸収を助けます。タンパク質の消化・吸収はペプシンやトリプシンなどの酵素とアミノ酸・ペプチド輸送体の担当と切り分けて整理してください。
ポイント
  • 胆汁酸は肝細胞でコレステロールから合成される。胆嚢の役割は貯蔵と濃縮。
  • コレシストキニン(CCK):脂肪・タンパク分解産物が刺激 → 胆嚢収縮+Oddi括約筋弛緩で胆汁排泄を促進、膵酵素分泌も促進。
  • セクレチン:酸が刺激 → 膵管・胆管から重炭酸に富む液を分泌させ、十二指腸を中和する(抑制ではない)。
  • 胆汁酸のミセルの相手は脂質(脂肪酸・モノアシルグリセロール・コレステロール・脂溶性ビタミン)。
  • 腸へ出た胆汁酸は回腸末端で再吸収され、門脈経由で肝臓へ戻る(腸肝循環)。
比較表
ホルモン分泌部位主な分泌刺激胆汁への作用その他の作用
コレシストキニン(CCK)十二指腸・空腸のI細胞脂肪・タンパク質の分解産物胆嚢収縮+Oddi括約筋弛緩 → 排泄を促進膵酵素分泌の促進、胃排出の抑制
セクレチン十二指腸のS細胞胃酸(酸性の粥)胆管上皮から重炭酸に富む液を分泌(量を増やす)膵液の重炭酸分泌↑、胃酸分泌の抑制
ガストリン胃幽門部のG細胞タンパク質分解産物・迷走神経主作用ではない胃酸・ペプシノゲン分泌の促進
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