学習トップ理由で解く 柔道整復師生理学 ▸ §5 消化と吸収 / QJ32A104

理由で解く 柔道整復師

QJ32A104 生理学

出典:第32回柔道整復師国家試験(2024)午前 問104
問題
調節する因子と消化器の働きの組合せで正しいのはどれか。
選択肢
1 ガストリン-胃酸分泌の抑制
2 セクレチン膵液分泌の促進
3 副交感神経刺激-唾液分泌の抑制
4 交感神経刺激-消化管運動の促進
解答
正解2(セクレチン膵液分泌の促進)
解説

消化管ホルモンと自律神経の作用方向を問う組合せ問題です。セクレチンは重炭酸に富む膵液の分泌を促すので、正しい組合せは2です。

消化の調節は「何が刺激になり、どこから出て、何を促すか」という流れで整理すると混乱しません。胃に食物が入るとガストリンが胃酸分泌を促し、酸性の粥状液が十二指腸へ送られると、今度は十二指腸粘膜のS細胞がセクレチンを出して重炭酸イオンに富む膵液を分泌させ、酸を中和します。脂肪やアミノ酸が刺激になるとI細胞からコレシストキニンが出て、消化酵素に富む膵液の分泌と胆嚢収縮を起こします。自律神経では、副交感神経(迷走神経など)が「休息して消化する」方向、すなわち唾液・胃液・膵液の分泌促進と消化管運動の亢進を担い、交感神経は逆に消化管の血流と運動を抑え、括約筋を収縮させます。この一本の流れに各肢を当てはめれば、作用方向の誤りが見分けられます。

✓ 2. 正しい
セクレチン膵液分泌の促進
セクレチンは十二指腸のS細胞から、胃から流れ込む酸(pH低下)を刺激として分泌されます。膵管上皮に働いて水と重炭酸イオンに富むアルカリ性の膵液を大量に出させ、十二指腸内の酸を中和して膵酵素が働ける環境をつくります。同時に胃酸分泌を抑え幽門を締める方向にも作用するため、「酸を鎮める司令塔」と覚えると作用方向を取り違えません。
✗ 1. 誤り
ガストリン-胃酸分泌の抑制
ガストリンは胃幽門前庭部のG細胞から分泌され、壁細胞に直接、またECL細胞からのヒスタミン放出を介して、胃酸分泌を強力に「促進」します。ペプシノゲン分泌や胃の運動、胃粘膜の増殖も促すため、組合せとしては促進が正解になります。ガストリンは「胃を働かせるホルモン」、セクレチンは「胃を鎮めるホルモン」と対で覚えておきましょう。
✗ 3. 誤り
副交感神経刺激-唾液分泌の抑制
唾液腺は副交感神経(耳下腺は舌咽神経、顎下腺・舌下腺は顔面神経)の支配を強く受け、アセチルコリンがM3受容体に働いてサラサラした漿液性の唾液を大量に分泌させます。交感神経も分泌を起こしますが、量が少なく粘稠な唾液になる点が違いです。唾液腺は交感・副交感の両方で分泌が増える点が特徴的なので、「副交感=抑制」ではなく「副交感=大量・漿液性」と結びつけてください。
✗ 4. 誤り
交感神経刺激-消化管運動の促進
交感神経が優位になるのは闘争・逃走の場面で、消化管の運動と分泌は「抑制」され、括約筋は収縮し、血流は骨格筋へ振り向けられます。消化管運動を促進するのは副交感神経(迷走神経・骨盤内臓神経)です。「食事中はリラックス=副交感が消化を進める」という場面で覚えておくと、他の臓器の交感・副交感の作用と一緒に整理できます。
ポイント
  • ガストリン:胃幽門前庭部G細胞から。胃酸・ペプシノゲン分泌と胃運動を促進する。
  • セクレチン:十二指腸S細胞から、酸が刺激。重炭酸に富む膵液を促し、胃酸分泌は抑える。
  • コレシストキニン:十二指腸I細胞から、脂肪・アミノ酸が刺激。膵酵素分泌と胆嚢収縮、Oddi括約筋の弛緩を起こす。
  • 副交感神経:消化管運動・分泌を促進。唾液は大量で漿液性。交感神経:運動・分泌を抑制し括約筋を収縮。
  • 唾液分泌だけは交感・副交感の両方で増える。性質の違い(粘稠・少量/漿液性・大量)で区別する。
比較表
調節因子産生部位・刺激主な作用
ガストリン胃幽門前庭部G細胞/タンパク質・胃拡張・迷走神経胃酸分泌促進、胃運動促進
セクレチン十二指腸S細胞/十二指腸内の酸重炭酸に富む膵液分泌促進、胃酸分泌抑制
コレシストキニン十二指腸I細胞/脂肪・アミノ酸膵酵素分泌促進、胆嚢収縮
副交感神経迷走神経・顔面神経・舌咽神経など唾液・消化液分泌促進、消化管運動促進
交感神経胸腰髄由来消化管運動・分泌抑制、括約筋収縮
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