学習トップ理由で解く 柔道整復師生理学 ▸ §5 消化と吸収 / QJ32A103

理由で解く 柔道整復師

QJ32A103 生理学

出典:第32回柔道整復師国家試験(2024)午前 問103
問題
肝臓の機能でないのはどれか。
選択肢
1 解毒
2 糖新生
3 胆汁産生
4 リンパ球産生
解答
正解4(リンパ球産生)
解説

「肝臓の機能でないのはどれか」という否定形の設問です。解毒・糖新生・胆汁産生はいずれも肝臓の代表的な仕事で、リンパ球産生だけが骨髄と胸腺の役割なので、答えは4です。

肝臓は体重の約2%を占める最大の実質臓器で、門脈から吸収された栄養素と肝動脈からの酸素を受け取り、代謝の中枢として働きます。糖代謝ではグリコーゲンの合成・分解に加え、乳酸やアミノ酸、グリセロールからブドウ糖をつくる糖新生を行い、空腹時の血糖を支えます。タンパク代謝ではアルブミンや大部分の血液凝固因子を合成し、アミノ酸の分解で生じたアンモニアを尿素回路で無毒な尿素に変えます。薬物やアルコール、ホルモンはチトクロームP450などによる代謝と抱合を受けて排泄されやすい形になり(解毒)、胆汁酸とビリルビン抱合体を含む胆汁が肝細胞から分泌されて脂肪の消化吸収を助けます。さらにグリコーゲン・鉄・ビタミンA・D・B12の貯蔵、胎生期の造血、類洞のクッパー細胞による異物処理も担いますが、成人ではリンパ球を産生する場ではありません。

✓ 4. これが答え(肝臓の機能ではない)
リンパ球産生
リンパ球はすべて骨髄の造血幹細胞に由来し、B細胞は骨髄で、T細胞は胸腺へ移動して成熟します(これらが一次リンパ性器官)。産生されたリンパ球はリンパ節・脾臓・扁桃・パイエル板といった二次リンパ性器官で抗原に出会って増殖します。肝臓はクッパー細胞による貪食や補体成分の合成で免疫に関与し、胎生期には造血も行いますが、成人のリンパ球産生の場ではないため、これが設問の求める答えになります。
✗ 1. 肝臓の機能である(答えではない)
解毒
薬物・アルコール・毒物はチトクロームP450による酸化やグルクロン酸抱合を受け、水溶性を高めて胆汁や尿へ排泄されます。タンパク分解で生じたアンモニアを尿素回路で尿素に変えるのも肝臓の解毒作用で、肝不全で高アンモニア血症から肝性脳症が起こる理由でもあります。解毒は肝臓の代表的機能なので、この肢は除外して考えましょう。
✗ 2. 肝臓の機能である(答えではない)
糖新生
糖新生は乳酸・糖原性アミノ酸・グリセロールからブドウ糖を新たにつくる経路で、主に肝臓(一部は腎皮質)で行われます。グルカゴンやコルチゾールに促進され、空腹時や運動時に血糖を維持します。筋肉はグルコース-6-ホスファターゼを持たず血中へ糖を放出できない、という対比まで押さえると肝臓の役割がはっきりします。
✗ 3. 肝臓の機能である(答えではない)
胆汁産生
胆汁は肝細胞がつくり、1日およそ500〜800 mL分泌されます。コレステロールから合成された胆汁酸が脂肪を乳化してリパーゼの作用を助け、ヘモグロビン由来の間接ビリルビンはグルクロン酸抱合を受けて直接ビリルビンとして胆汁中に排泄されます。胆嚢は肝臓がつくった胆汁を濃縮・貯留する器官であり、産生の場ではない点も併せて確認しておきましょう。
ポイント
  • 肝臓の五大機能は「代謝(糖・脂質・タンパク)/解毒/胆汁産生/貯蔵/血漿タンパク合成」。
  • アルブミンと大部分の血液凝固因子は肝臓で合成される。肝障害で低アルブミン血症と出血傾向が出る理由。
  • アンモニアは尿素回路で尿素へ。処理できないと高アンモニア血症から肝性脳症を招く。
  • リンパ球産生は骨髄(B細胞成熟)と胸腺(T細胞成熟)の役割で、これらが一次リンパ性器官。
  • 肝臓はクッパー細胞による貪食や補体産生で免疫に関わり、胎生期には造血も行うが、成人のリンパ球産生の場ではない。
比較表
働き担当する臓器肝臓が行うか
解毒(薬物代謝・尿素合成)肝臓行う
糖新生肝臓(一部は腎皮質)行う
胆汁産生肝臓(胆嚢は濃縮・貯留のみ)行う
リンパ球産生・成熟骨髄(B細胞)・胸腺(T細胞)成人では行わない
赤血球の産生成人は骨髄(胎生期は肝臓・脾臓)成人では行わない
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