学習トップ理由で解く 柔道整復師生理学 ▸ §8 尿の生成と排泄 / QJ32A102

理由で解く 柔道整復師

QJ32A102 生理学

出典:第32回柔道整復師国家試験(2024)午前 問102
問題
腎臓でグルコースを能動的に再吸収する部位はどれか。
選択肢
1 集合管
2 近位尿細管
3 遠位尿細管
4 ヘンレループの下行脚
解答
正解2(近位尿細管)
解説

糸球体でろ過されたグルコースは、ほぼ全量が近位尿細管でNa+と一緒に能動的に汲み上げられます。正解は2の近位尿細管です。

近位尿細管の管腔膜にはSGLT(Na+/グルコース共輸送体)があり、基底側のNa+-K+ポンプがつくったNa+の濃度勾配を動力にしてグルコースを細胞内へ引き込みます。ATPを直接は使わず、ポンプが作った勾配を利用するので二次性(続発性)能動輸送と呼ばれ、濃度勾配に逆らって管腔側のグルコースをほぼゼロまで回収できます。細胞内に入ったグルコースは基底膜側のGLUT2から促通拡散で血液側へ抜けていきます。健常者では原尿中のグルコースは100%再吸収されて尿糖は出ませんが、輸送体の数には限りがあるため、血糖値がおよそ160〜180 mg/dL(腎糖閾)を超えると再吸収が飽和して尿糖が出現します。「グルコース・アミノ酸・重炭酸・リン酸・大部分の水とNa+の回収係」は近位尿細管、と役割で覚えるのが近道です。

✓ 2. 正しい
近位尿細管
管腔膜のSGLT2(主にS1・S2部)とSGLT1(S3部)がNa+勾配を利用してグルコースを能動的に再吸収し、GLUT2で血中へ送り出します。血糖が腎糖閾(およそ160〜180 mg/dL)以下であれば、ろ過されたグルコースは全量がここで回収され、この部位を通過した後の尿細管液にグルコースは残りません。糖尿病治療薬のSGLT2阻害薬がこの再吸収を止めて尿糖を出す薬である、と結びつけると位置が定着します。
✗ 1. 誤り
集合管
集合管はADHによる水の再吸収(アクアポリン2)、アルドステロンによるNa+再吸収とK+分泌、尿の酸性化といった「最終調整」を担う場所で、グルコース輸送体はありません。健常者ではここに届く時点でグルコースはすでに回収済みです。集合管を見たら「水・Na+・K+・H+のホルモン調節」と反射的に結びつけましょう。
✗ 3. 誤り
遠位尿細管
遠位尿細管の仕事はNa+-Cl-共輸送体によるNaClの再吸収と、副甲状腺ホルモンに応じたCa2+の再吸収が中心で、グルコースの再吸収は行いません。糸球体近傍にある緻密斑の位置としても押さえておきたい部位です。「遠位=電解質の微調整」と整理しておくと近位との区別が崩れません。
✗ 4. 誤り
ヘンレループの下行脚
下行脚はアクアポリン1が豊富で水は通しやすい一方、溶質の輸送体をほとんど持たないため、髄質の高浸透圧に引かれて水が受動的に出ていくだけの区間です。能動輸送を担うのは上行脚(太い部分のNa+-K+-2Cl-共輸送体)で、対向流増幅系の駆動源になります。下行脚は「水だけ」、上行脚は「塩だけ」と対にして覚えてください。
ポイント
  • グルコースの再吸収は、血糖が腎糖閾以下ならすべて近位尿細管で完了する。輸送体はSGLT2(S1・S2)とSGLT1(S3)。
  • Na+-K+ポンプが作ったNa+勾配を利用する二次性(続発性)能動輸送。基底側はGLUT2による促通拡散。
  • 健常では尿糖は陰性。腎糖閾(およそ160〜180 mg/dL)を超えると再吸収が飽和して尿糖が出る。
  • 近位尿細管はグルコース・アミノ酸・重炭酸・リン酸と、水・Na+の約2/3を回収する「大量回収係」。
  • ヘンレループ下行脚は水のみ、上行脚は塩のみを動かす。集合管・遠位尿細管はホルモンによる最終調整。
比較表
部位主な再吸収・分泌グルコース再吸収
近位尿細管グルコース、アミノ酸、HCO3-、リン酸、Na+・水の約2/3あり(SGLTによる能動輸送)
ヘンレループ下行脚水(受動的、アクアポリン1)なし
ヘンレループ上行脚(太い部分)Na+・K+・Cl-(NKCC2、能動的)/水は不透過なし
遠位尿細管NaCl(NCC)、Ca2+(PTH調節)なし
集合管水(ADH)、Na+(アルドステロン)、K+・H+分泌なし
この問題の解説の修正を依頼する

解説に誤り・改善点があればお知らせください。件名と本文は自動入力済みです(編集できます)。お名前・メールアドレスは任意です。送信内容は玄康株式会社(黒澤一弘)に届きます。