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理由で解く 柔道整復師

QJ31A101 生理学

出典:第31回柔道整復師国家試験(2023)午前 問101
問題
糸球体血圧60mmHg、ボーマン嚢内圧15mmHg、血漿膠質浸透圧25mmHgの場合の有効濾過圧はどれか。
選択肢
1 20mmHg
2 50 mmHg
3 70mmHg
4 100mmHg
解答
正解1(20mmHg)
解説

有効濾過圧=糸球体血圧−(ボーマン嚢内圧+血漿膠質浸透圧)=60−(15+25)=20mmHg。正答は1。

腎小体での濾過は、3つの圧のせめぎ合いで決まります。血液を毛細血管から押し出そうとするのは糸球体血圧(毛細血管血圧)だけです。反対に押し戻すのが、すでにボーマン嚢に溜まった原尿の圧であるボーマン嚢内圧と、血漿タンパク(主にアルブミン)が水を血管内に引き止める血漿膠質浸透圧の2つです。原尿には正常ならタンパクがほとんど含まれないため、ボーマン嚢側の膠質浸透圧は無視できると考えます。したがって計算は「押し出す1つ − 押し戻す2つの和」。本問では60−(15+25)=20mmHgとなります。式を丸暗記するより、力の向きを図にして符号を決める癖をつけると、数値が変わっても確実に解けます。

✓ 1. 正しい
20mmHg
押し出す力は糸球体血圧60mmHg、押し戻す力はボーマン嚢内圧15mmHgと血漿膠質浸透圧25mmHgの合計40mmHg。差し引き60−40=20mmHgが実際に濾過に使われる圧(有効濾過圧)です。正の値なので濾過が成立している状態を意味します。
✗ 2. 誤り
50 mmHg
60−25+15=50となり、ボーマン嚢内圧の符号を取り違えた場合の値です。ボーマン嚢内圧は嚢内に溜まった液が濾過を押し返す力なので、必ず引き算側に置きます。3つの圧を並べたら「押し出す/押し戻す」を先に仕分けしてから計算しましょう。
✗ 3. 誤り
70mmHg
60+25−15=70で、血漿膠質浸透圧を足してしまった場合の値です。膠質浸透圧はアルブミンが水を血管内に引き止める力なので、濾過を妨げる向きに働きます。低栄養やネフローゼ症候群で血漿タンパクが減ると膠質浸透圧が下がり、浮腫が生じやすくなる点と結びつけると向きを覚えやすくなります。
✗ 4. 誤り
100mmHg
60+15+25=100で、3つをすべて足した値です。有効濾過圧は「差し引き残った力」なので、単純な合計にはなりません。押し出す力と押し戻す力を矢印で向かい合わせに書いてから引き算する手順を習慣にしてください。
ポイント
  • 有効濾過圧=糸球体血圧−(ボーマン嚢内圧+血漿膠質浸透圧)。押し出す1つ、押し戻す2つ。
  • 押し出す力は糸球体血圧のみ。糸球体毛細血管は輸入・輸出細動脈に挟まれるため、他の毛細血管より高い血圧が保たれる。
  • 原尿にはタンパクがほとんど含まれないので、ボーマン嚢内の膠質浸透圧は計算に入れない。
  • 膠質浸透圧が下がる(低アルブミン血症)と有効濾過圧は上がる方向に、尿路閉塞などで嚢内圧が上がると下がる方向に働く。
  • 糸球体濾過量(GFR)はおよそ100〜125mL/分。輸入細動脈が拡張すると増え、収縮すると減る。
比較表
働く向き本問の値計算での符号
糸球体血圧血液をボーマン嚢へ押し出す60mmHg+60
ボーマン嚢内圧嚢内の原尿が濾過を押し返す15mmHg−15
血漿膠質浸透圧血漿タンパクが水を血管内に引き止める25mmHg−25
有効濾過圧=20mmHg
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