学習トップ理由で解く 柔道整復師生理学 ▸ §8 尿の生成と排泄 / QJ30A099

理由で解く 柔道整復師

QJ30A099 生理学

出典:第30回柔道整復師国家試験(2022)午前 問99
問題
バゾプレッシンによって水の透過性が増すのはどれか。
選択肢
1 近位尿細管
2 ヘンレのループの下行脚
3 ヘンレのループの上行脚
4 集合管
解答
正解4(集合管)
解説

バゾプレッシン(抗利尿ホルモン、ADH)は集合管の水透過性を高めて水を再吸収させます。したがって答えは 4 です。

バゾプレッシンは視床下部で作られ下垂体後葉から分泌され、血漿浸透圧の上昇や循環血漿量の減少が刺激になります。集合管の主細胞にある V2 受容体に結合すると細胞内 cAMP が増え、プロテインキナーゼ A が働いてアクアポリン 2 を含む小胞が管腔側の細胞膜に組み込まれます。これによって水が通れる道ができ、髄質の高い浸透圧に引かれて水が再吸収され、尿は濃縮されます。近位尿細管とヘンレのループ下行脚はもともとアクアポリン 1 によって水を通しますがバゾプレッシンの調節を受けず、上行脚は水を通さずに NaCl だけを再吸収して髄質の浸透圧勾配を作ります。分泌不足では尿崩症となって大量の低張尿が出るため、脱水を防ぐ水分補給と原因検索が必要になります。

✓ 4. 正しい
集合管
主細胞の V2 受容体を介してアクアポリン 2 が管腔膜に挿入され、水透過性が増します。尿の最終的な濃縮を担う、ホルモン調節を受ける唯一の水再吸収部位です。
✗ 1. 誤り
近位尿細管
もともと水透過性が高く、濾液の約 3 分の 2 を溶質とともに等張性に再吸収します。バゾプレッシンによる調節は受けません。
✗ 2. 誤り
ヘンレのループの下行脚
水は通しますが NaCl はほとんど通さない部位で、髄質の浸透圧上昇に伴って受動的に水が出ていきます。ここもバゾプレッシンの標的ではありません。
✗ 3. 誤り
ヘンレのループの上行脚
水をほとんど通さず、NaCl を能動的に再吸収する部位です。管内の尿は薄まり、髄質は濃くなって対向流増幅の原動力になります。
ポイント
  • バゾプレッシン(ADH)は下垂体後葉から分泌。刺激は血漿浸透圧上昇と循環血漿量減少。
  • 標的は集合管の主細胞。V2 受容体 → cAMP → アクアポリン 2 の膜挿入。
  • 近位尿細管と下行脚は水を通すが ADH 非依存。上行脚は水を通さない。
  • 上行脚の NaCl 再吸収が髄質の浸透圧勾配(対向流増幅系)を作り、集合管での濃縮を可能にする。
  • ADH 不足=尿崩症(多尿・低張尿)、ADH 過剰=SIADH(低 Na⁺ 血症)。
比較表
部位水の透過性ADH の調節主な役割
近位尿細管高い(アクアポリン 1)受けない濾液の約 2/3 を等張性に再吸収
ヘンレ下行脚高い受けない受動的な水の再吸収で管内を濃縮
ヘンレ上行脚ほぼ通さない受けないNaCl 再吸収、髄質高浸透圧の形成
集合管ADH 依存で変化(アクアポリン 2)受ける尿の最終濃縮
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