学習トップ理由で解く 柔道整復師必修問題 ▸ §30 下腿三頭筋肉ばなれの診察 / QJ33A035

理由で解く 柔道整復師

QJ33A035 必修問題

出典:第33回柔道整復師国家試験(2025)午前 問35
問題
下腿三頭筋肉離れで誤っているのはどれか。
選択肢
1 足関節底屈の筋力が低下する。
2 マットレステストが陽性となる。
3 足関節の自動的な底屈で疼痛が増強する。
4 足関節の他動的な背屈で疼痛が増強する。
解答
正解2(マットレステストが陽性となる。)
解説

「誤っているのはどれか」を問う設問です。マットレステストはアキレス腱の連続性を調べる検査で、腱が切れていない下腿三頭筋の肉離れでは陰性になります。

下腿三頭筋の肉離れは、腓腹筋内側頭の筋腱移行部に起こるものが代表で、ダッシュや踏み込みの瞬間に「ふくらはぎを蹴られた」と感じる訴えが典型です。損傷しているのは筋線維であって踵骨腱(アキレス腱)の連続性は保たれているため、腱の連続性を調べる検査はいずれも陰性になります。マットレス(Matles)テストは、腹臥位で両膝を90度屈曲させ、足関節が示す安静肢位を左右で見比べる検査です。腱がつながっていれば患側も健側と同じように軽度底屈位を保ちますが、アキレス腱が断裂していると底屈位を保てず、足部が中間位〜背屈位に落ちるため陽性となります。握る手技ではない点が特徴です。これに対しトンプソン(シモンズ)テストは、腹臥位で下腿三頭筋の筋腹を把握し、足関節の底屈が起こるかをみる別の検査で、断裂していると握っても底屈が起こらず陽性です。手技は異なりますが、どちらもアキレス腱の連続性を評価するものであり、肉離れでは陰性、アキレス腱断裂で陽性という結論は共通です。肉離れでは損傷部の圧痛と陥凹感、底屈筋力の低下がみられ、自動的な底屈では損傷した筋線維が収縮して痛み、他動的な背屈では引き伸ばされて痛むという、収縮痛と伸張痛の両方が出ます。急性期はRICE処置と底屈位での固定・保護から始め、疼痛の消退に合わせて段階的にストレッチと荷重を進めます。

✓ 2. これが答え(内容が誤っている)
マットレステストが陽性となる。
マットレス(Matles)テストは、腹臥位で両膝を90度屈曲させたときの足関節の安静肢位をみる、アキレス腱断裂の検査です。肉離れでは腱の連続性が保たれているため患側も軽度底屈位を保ち、陰性になります。底屈位を保てず中間位〜背屈位になる(陽性)ならアキレス腱断裂を疑います。
✗ 1. 答えではない(内容は正しい)
足関節底屈の筋力が低下する。
下腿三頭筋は足関節底屈の主動作筋なので、筋線維が損傷すれば底屈の筋力は低下します。つま先立ちが痛くてできない、という訴えにつながります。
✗ 3. 答えではない(内容は正しい)
足関節の自動的な底屈で疼痛が増強する。
損傷した筋線維が収縮することで痛みが誘発されます(収縮痛)。抵抗を加えるとさらに明瞭になります。
✗ 4. 答えではない(内容は正しい)
足関節の他動的な背屈で疼痛が増強する。
背屈は下腿三頭筋を引き伸ばす方向なので、損傷部が伸ばされて痛みます(伸張痛)。痛みの出る背屈角度は、回復の指標としても使えます。
ポイント
  • 好発は腓腹筋内側頭の筋腱移行部。「蹴られた感じ」の訴えが典型。
  • マットレス(Matles)テスト=腹臥位・両膝90度屈曲位で足関節の安静肢位をみる。断裂側は底屈位を保てず中間位〜背屈位になる。握る手技ではない。
  • トンプソン(シモンズ)テスト=腹臥位で下腿三頭筋の筋腹を把握し、底屈が起こるかをみる別の検査。
  • いずれもアキレス腱の連続性をみる検査。肉離れでは腱が切れていないため陰性、アキレス腱断裂で陽性。
  • 収縮痛(自動底屈)と伸張痛(他動背屈)の両方がみられ、底屈筋力も低下する。
  • 急性期はRICE処置と底屈位での保護。回復に応じてストレッチと荷重を段階的に進める。
比較表
下腿三頭筋肉離れアキレス腱断裂
損傷部位筋腱移行部(筋線維)踵骨腱(腱の連続性が絶たれる)
マットレス(Matles)テスト
腹臥位・両膝90度屈曲位で安静肢位をみる
陰性(患側も軽度底屈位を保つ)陽性(底屈位を保てず中間位〜背屈位)
トンプソン(シモンズ)テスト
下腿三頭筋の筋腹を把握する
陰性(底屈が起こる)陽性(底屈が起こらない)
底屈筋力低下著明に低下、つま先立ち不能
陥凹の触知筋腹の限局した圧痛が主腱に明らかな陥凹を触れる
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