学習トップ理由で解く 柔道整復師必修問題 ▸ §30 下腿三頭筋肉ばなれの診察 / QJ32A032

理由で解く 柔道整復師

QJ32A032 必修問題

出典:第32回柔道整復師国家試験(2024)午前 問32
問題
下腿三頭筋肉離れで正しいのはどれか。
選択肢
1 腓腹筋内側に好発する。
2 つま先立ちは不能である。
3 トンプソンテスト陽性である。
4 スポーツ選手では観血療法が選択されることが多い。
解答
正解1(腓腹筋内側に好発する。)
解説

下腿三頭筋の肉離れ(いわゆるテニスレッグ)は、腓腹筋内側頭の筋腱移行部に好発します。アキレス腱断裂との鑑別が最大のポイントです。

腓腹筋は大腿骨顆部から起こり膝関節もまたぐ二関節筋で、なかでも内側頭は筋量が多く、膝伸展位で足関節が急に背屈される場面(踏み込み、ダッシュの一歩目など)に強い伸張ストレスを受けます。そのため損傷は内側頭の筋腱移行部に集中し、下腿内側に限局した圧痛と、ときに陥凹を触れます。ここで大切なのは、筋そのものは一部が損傷しているだけで腱の連続性は保たれている点で、痛みはあってもつま先立ちは可能なことが多く、トンプソンテストも陰性にとどまります。治療は圧迫・冷却・安静などの保存療法が基本で、可動域と筋力を段階的に戻していきます。

✓ 1. 正しい
腓腹筋内側に好発する。
膝伸展位+足関節背屈で最も伸ばされるのが二関節筋である腓腹筋、とりわけ筋量の多い内側頭です。損傷部は筋腱移行部で、下腿内側に限局した圧痛として現れます。
✗ 2. 誤り
つま先立ちは不能である。
腱の連続性が保たれているため、疼痛による制限はあってもつま先立ちは可能なことが多くなります。まったく不能な場合はアキレス腱断裂を強く疑い、医師の診察につなげます。
✗ 3. 誤り
トンプソンテスト陽性である。
トンプソンテストは腹臥位で下腿三頭筋を握り、足関節の底屈が起こるかをみる検査で、アキレス腱の連続性を評価します。腱がつながっている肉離れでは底屈が起こるため陰性です。
✗ 4. 誤り
スポーツ選手では観血療法が選択されることが多い。
肉離れは保存療法が原則で、競技者でも同様です。急性期は圧迫・冷却・安静で出血と腫脹を抑え、その後に可動域・筋力・伸張性を段階的に回復させて復帰を目指します。
ポイント
  • 好発は腓腹筋内側頭の筋腱移行部(テニスレッグ)。下腿内側に限局した圧痛。
  • 受傷機転は膝伸展位での急な足関節背屈。二関節筋である腓腹筋が伸ばされる。
  • 腱の連続性は保たれるため、つま先立ちは可能なことが多く、トンプソンテストは陰性。
  • トンプソンテスト陽性・底屈不能・アキレス腱に陥凹があればアキレス腱断裂を疑う。
  • 治療は保存療法が基本。急性期の圧迫・冷却・安静から段階的な回復へ。
比較表
項目下腿三頭筋の肉離れアキレス腱断裂
損傷部位腓腹筋内側頭の筋腱移行部踵骨付着部の2〜6cm近位
陥凹の触知筋腹内側に軽度腱に明瞭な陥凹
つま先立ち可能なことが多い不能
トンプソンテスト陰性陽性(底屈が起こらない)
治療保存療法が原則保存・観血いずれも検討(医師の管理下)
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