学習トップ理由で解く 柔道整復師必修問題 ▸ §30 下腿三頭筋肉ばなれの診察 / QJ31A031

理由で解く 柔道整復師

QJ31A031 必修問題

出典:第31回柔道整復師国家試験(2023)午前 問31
問題
下腿三頭筋の肉離れの好発部位はどれか。
図
選択肢
1 1
2 2
3 3
4 4
解答
正解2
解説

下腿三頭筋の肉離れは腓腹筋内側頭の筋腱移行部(下腿後面内側で筋腹の遠位寄り)に好発する。図では2がこれにあたる。

いわゆるテニスレッグで、中年以降のスポーツ愛好者が、膝を伸ばしたまま足関節を背屈させた瞬間(踏み込み、ダッシュ、切り返し)に受傷する。腓腹筋は膝関節と足関節をまたぐ二関節筋なので、膝伸展+足背屈で最も強く引き伸ばされ、そこへ急激な収縮が重なると、伸張ストレスが集中する筋腱移行部が破綻する。内側頭は外側頭より筋量が大きく発揮する力も強いため、内側に起こりやすい。「後ろからボールをぶつけられた」ような衝撃と鋭い痛み、その部の圧痛と陥凹、つま先立ち困難、数日後に足関節周囲へ下降する皮下出血が典型像である。最も重要な鑑別はアキレス腱断裂で、トンプソン(シモンズ)テスト、すなわち腹臥位で膝を軽く屈曲させ下腿三頭筋の筋腹を握って圧迫し、足関節が底屈するかをみる検査を行う。圧迫しても底屈が起こらない場合を陽性とし、陽性であればアキレス腱断裂を強く疑って医療機関へ紹介する。肉離れでは腱の連続性が保たれているため底屈が起こり、陰性となる。肉離れであれば初期はRICE処置と足関節軽度底屈位での固定・免荷から始め、疼痛の消退に合わせて可動域訓練、等尺性収縮、荷重、ストレッチと段階的に負荷を上げ、再受傷を防ぐ。

✓ 2. 正しい
2
図に示された部位のうち、腓腹筋内側頭の筋腱移行部にあたるのがこれである。膝伸展位+足背屈で最も伸張され、筋と腱の硬さが切り替わる境目に応力が集中するため、下腿三頭筋の肉離れの好発部位となる。
✗ 1. 誤り
1
本問が問う「腓腹筋内側頭の筋腱移行部」という条件を満たさない。下腿後面で紛らわしいのは腓腹筋の起始(大腿骨内側顆・外側顆)付近で、ここは伸張ストレスの集中点ではなく肉離れの好発部位には当たらない。
✗ 3. 誤り
3
これも筋腱移行部という条件に当てはまらない。混同しやすいのが筋腹の中央部で、伸び縮みの余裕が大きく応力が一点に集まりにくいため、単独で断裂する頻度は低い。
✗ 4. 誤り
4
筋腱移行部にはあたらず、下腿三頭筋の肉離れの好発部位という条件を満たさない。下腿後面で鑑別上いちばん重要なのがアキレス腱で、その断裂は踵骨付着部の2〜6cm近位に好発するが、これは腱の損傷であり筋の肉離れとは区別する。
ポイント
  • 好発は腓腹筋内側頭の筋腱移行部。通称テニスレッグ
  • 受傷肢位は膝伸展+足関節背屈。二関節筋が最大伸張される瞬間に急激な収縮が加わる
  • 症状:突然の衝撃感と鋭痛、限局した圧痛と陥凹、つま先立ち困難、遅れて下降する皮下出血
  • アキレス腱断裂との鑑別が最優先。トンプソンテストは筋腹を握って圧迫しても底屈しなければ「陽性」=アキレス腱断裂を疑い医療機関へ紹介する
  • 肉離れでは腱の連続性が保たれるため底屈がみられ「陰性」。陽性・陰性の向きを取り違えない
  • 初期はRICEと足関節軽度底屈位固定・免荷、痛みの軽減に合わせて段階的に負荷を上げる
比較表
下腿三頭筋の肉離れ(テニスレッグ)アキレス腱断裂
損傷部位腓腹筋内側頭の筋腱移行部アキレス腱実質(踵骨付着部の2〜6cm近位)
陥凹の位置下腿後面内側、筋腹の遠位踵の上方、腱の走行上
トンプソンテスト陰性(筋腹を握ると足関節が底屈する)陽性(筋腹を握っても底屈しない)
つま先立ち痛みで困難だが可能なことがある不能
この問題の解説の修正を依頼する

解説に誤り・改善点があればお知らせください。件名と本文は自動入力済みです(編集できます)。お名前・メールアドレスは任意です。送信内容は玄康株式会社(黒澤一弘)に届きます。