学習トップ理由で解く 柔道整復師柔道整復理論 ▸ §24 臨床実地問題 / QJ32P121

理由で解く 柔道整復師

QJ32P121 柔道整復理論

出典:第32回柔道整復師国家試験(2024)午後 問121
問題
29歳の男性。プロバスケットボール選手である。2か月前から右足関節背屈での疼痛を自覚している。足関節前面に骨性隆起を触れるが、同部の圧痛は軽度である。足関節に背屈制限と不安定性がみられる。考えられるのはどれか。
選択肢
1 三角骨障害
2 衝突性外骨腫
3 足根洞症候群
4 足根管症候群
解答
正解2(衝突性外骨腫)
解説

反復する背屈負荷の大きい競技者で、足関節前面に骨性隆起を触れ、背屈時痛と背屈制限、さらに不安定性がある――衝突性外骨腫(前方インピンジメント)です。

足関節を強く背屈すると、脛骨の前縁と距骨頸部の背側が近づいてぶつかります。ジャンプ・ダッシュ・切り返しを繰り返す競技では、この衝突が積み重なることで両者に骨棘(外骨腫)が形成され、背屈のたびに骨どうしが当たって痛み、可動域が制限されます。捻挫を繰り返して外側靱帯が緩み不安定性があると、距骨のわずかな前方移動と回旋が加わって衝突がいっそう強まるため、不安定性の存在はこの病態を後押しする所見として読めます。触診では足関節前面に硬い骨性の隆起を触れますが、骨そのものの圧痛は必ずしも強くありません(本例で圧痛が軽度であることと矛盾しません)。対応は背屈を制限するテーピングやヒールリフト、足関節周囲筋の安定化訓練で、症状が強い例や関節内遊離体が疑われる例は医師の評価につなぎます。

✓ 2. 正しい
衝突性外骨腫
背屈で痛む、足関節前面に骨性隆起を触れる、背屈が制限される、捻挫の反復を思わせる不安定性がある――前方インピンジメントの典型像です。骨棘そのものは圧痛が軽度でも、背屈という「衝突が起こる方向」で症状が再現される点が決め手になります。
✗ 1. 誤り
三角骨障害
距骨後方の三角骨(過剰骨)が脛骨後縁と踵骨の間で挟まれる後方インピンジメントです。バレエのつま先立ちやサッカーのキックのような強い底屈で疼痛が誘発されます。痛みが出る方向が本例(背屈)とちょうど逆になります。
✗ 3. 誤り
足根洞症候群
外果の前下方にある足根洞部の圧痛と、内反捻挫後に残る後足部の疼痛・不安定感が主症状です。不安定性という点は共通しますが、足関節前面の骨性隆起や背屈制限を説明できません。
✗ 4. 誤り
足根管症候群
内果後下方の足根管で脛骨神経が絞扼される病態で、足底のしびれ・灼熱感やチネル徴候陽性といった神経症状が主体です。骨性隆起の触知や背屈制限とは所見の質が異なります。
ポイント
  • 「どの方向で痛むか」で前後を分ける。背屈で痛む=前方インピンジメント(衝突性外骨腫)、底屈で痛む=後方インピンジメント(三角骨障害)。
  • 骨棘は脛骨前縁と距骨頸部にできる。触診で硬い骨性隆起を触れるが、圧痛は軽度のことがある。
  • 捻挫の反復による不安定性は、距骨の前方移動を通じて衝突を強め、病態を進める背景になる。
  • 足根洞症候群は外果前下方の圧痛、足根管症候群は内果後下方の神経症状。部位と症状の質で切り分ける。
  • 対応は背屈制限のテーピング・ヒールリフトと足関節安定化訓練。遊離体が疑われる例は医師へ。
比較表
病態部位疼痛が出る動き特徴的所見
衝突性外骨腫(前方インピンジメント)足関節前面背屈骨性隆起の触知、背屈制限
三角骨障害(後方インピンジメント)足関節後方底屈アキレス腱前方の圧痛
足根洞症候群外果前下方後足部の回外足根洞部の圧痛、不安定感
足根管症候群内果後下方(神経症状が主体)足底のしびれ・灼熱感、チネル徴候
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