学習トップ理由で解く 柔道整復師柔道整復理論 ▸ §24 臨床実地問題 / QJ32P122

理由で解く 柔道整復師

QJ32P122 柔道整復理論

出典:第32回柔道整復師国家試験(2024)午後 問122
問題
18歳の女子。バスケットボール練習中に右足部を回外強制で負傷し来所した。写真(別冊 No. 4)に示す部位に限局する腫脹と著明な圧痛がみられた。考えられるのはどれか。2つ選べ。
図
選択肢
1 二分靱帯損傷
2 腓骨筋腱脱臼
3 有痛性外脛骨
4 踵骨前方突起骨折
解答
正解1(二分靱帯損傷)、4(踵骨前方突起骨折)
解説

足部の回外強制で受傷し、写真(別冊No.4)に示された一点に限局する腫脹と著明な圧痛がある。この部位を圧痛点とする損傷は二分靱帯損傷と踵骨前方突起骨折で、両者は同じ機序・同じ圧痛点をとるため併せて考える。

二分靱帯は踵骨前方突起を起始とし、立方骨へ向かう踵立方靱帯と舟状骨へ向かう踵舟靱帯がY字状に分かれる靱帯である。足部が回外(内がえし・内転・底屈)を強制されると、この靱帯が急激に牽引され、靱帯自体が損傷するか、あるいは付着部の踵骨前方突起を剥離骨折させる。どちらが起きたかは外見や触診では区別できず、圧痛点は外果の前下方、足根洞の前方という同じ一点に集中する。この部位は足関節外側靱帯(前距腓靱帯)の圧痛点よりやや前方かつ遠位にあり、両者を取り違えると単純な足関節捻挫として扱われ、剥離骨折が見逃されることになる。まずRICE処置と外がえし位での固定を行い、限局した圧痛が続く場合は斜位を含むX線撮影で骨傷の有無を確認できるよう、医師へ紹介する。

✓ 1. 正しい
二分靱帯損傷
別冊No.4で示された部位に一致する。回外強制は二分靱帯を最も緊張させる肢位であり、踵骨前方突起から立方骨・舟状骨へ張る靱帯が牽引されて損傷する。腫脹と圧痛が起始部である踵骨前方突起に限局する点が本損傷の特徴で、本例に合致する。
✓ 4. 正しい
踵骨前方突起骨折
別冊No.4で示された部位に一致する。同じ回外強制で二分靱帯に牽引力が働いた結果、靱帯が切れる代わりに付着部の踵骨前方突起が剥離することがある。二分靱帯損傷と受傷機序・圧痛点が完全に一致し、臨床所見だけでは鑑別できないため、両者がともに答えとなる。骨傷を見落とさないよう画像評価につなぐ。
✗ 2. 誤り
腓骨筋腱脱臼
腓骨筋腱脱臼は上腓骨筋支帯が断裂し、長・短腓骨筋腱が外果の後方から前方へ乗り越える損傷である。足関節背屈位での急激な腓骨筋収縮や外がえし強制で生じ、圧痛と腫脹は外果の後方に現れ、足関節の背屈・外がえしで腱が飛び出す弾発を触知する。回外強制で外果前下方に限局する所見とは、機序も部位も一致しない。
✗ 3. 誤り
有痛性外脛骨
外脛骨は舟状骨粗面に生じる過剰骨で、後脛骨筋腱の牽引により疼痛を来す。圧痛と骨性の隆起は足部内側の舟状骨粗面部にあり、足部外側とは反対側にあたる。捻挫を契機に有痛化することはあるが、本例の限局した圧痛部位とは合わないため答えにはならない。
ポイント
  • 足部の回外強制で外果前下方に限局した圧痛が出たら、二分靱帯損傷と踵骨前方突起骨折を同時に想起する。両者は機序も圧痛点も同じで、所見だけでは鑑別できない。
  • 二分靱帯は踵骨前方突起を起始とし、踵立方靱帯と踵舟靱帯にY字状に分かれる。踵骨前方突起骨折はこの靱帯による剥離骨折として起こる。
  • 前距腓靱帯の圧痛点(外果前方)よりやや前下方に圧痛の中心があるかを丁寧に確認すると、単なる足関節捻挫との取り違えを防げる。
  • 腓骨筋腱脱臼は外果後方の圧痛と弾発、有痛性外脛骨は足部内側の舟状骨粗面の圧痛と、部位で明確に分かれる。
  • RICE処置と外がえし位での固定を行い、限局圧痛が続く場合は斜位を含むX線評価のため医師へ紹介する。
比較表
疾患圧痛・腫脹の部位受傷機序特徴
二分靱帯損傷外果の前下方(踵骨前方突起部)足部の回外(内がえし・内転・底屈)強制靱帯実質の損傷。骨折と所見が同一
踵骨前方突起骨折外果の前下方(踵骨前方突起部)足部の回外強制(二分靱帯による牽引)剥離骨折。斜位X線で確認が必要
腓骨筋腱脱臼外果の後方背屈位での急激な腓骨筋収縮・外がえし強制上腓骨筋支帯の断裂、腱の弾発を触知
有痛性外脛骨足部内側の舟状骨粗面後脛骨筋腱の牽引ストレス過剰骨による骨性隆起と圧痛
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