学習トップ理由で解く 柔道整復師柔道整復理論 ▸ §24 臨床実地問題 / QJ32P115

理由で解く 柔道整復師

QJ32P115 柔道整復理論

出典:第32回柔道整復師国家試験(2024)午後 問115
問題
45歳の男性。柔道の練習中に受け身で右中指を負傷した。来所時、右中指 DIP 関節は屈曲し、同部に腫脹と軽度の圧痛がみられた。また同関節の自動運動は不能であった。医科での単純エックス線検査で骨折はないと言われた。固定期間はどれか。
選択肢
1 1〜2週
2 3~5週
3 6〜8週
4 9〜10週
解答
正解3(6〜8週)
解説

DIP関節が屈曲位のまま自動伸展が不能で、単純エックス線では骨折がない――終止腱の断裂によるマレット指(腱性)です。固定期間は6〜8週が標準です。

指を伸ばす伸筋腱は末節骨の基部背側に終止腱として付着します。受け身のときのように指先へ突き上げるような力が加わって終止腱が切れると、DIP関節を自分で伸ばせなくなり、拮抗する深指屈筋の働きで末節が屈曲位に落ちます。腱は骨と違って血行に乏しく、瘢痕を介して連続性を取り戻すまでに時間がかかるため、DIP関節を伸展位(軽度過伸展まで)に保った固定を6〜8週続けるのが標準です。このときPIP関節は固定に含めず動かせるようにしておくと、拘縮を防ぎながら治療を進められます。途中で固定を外すと伸展ラグ(伸びきらない状態)が残るので、最初に固定期間の見通しを伝え、自分では外さないこと、ずれたり外れたらすぐ連絡することを説明しておきます。

✓ 3. 正しい
6〜8週
腱性マレット指の標準的な固定期間です。DIP関節を伸展位に保ち、6〜8週を通して連続して固定します。その後もしばらく夜間のみの固定を続けて段階的に離脱し、DIP関節の自動運動を少しずつ再開していくと、伸展不全の残存を減らせます。
✗ 1. 誤り
1〜2週
軽度の捻挫や打撲に相当する期間で、腱が修復されるには短すぎます。この時期に固定を外すと修復途上の腱が伸ばされ、伸展ラグが残ります。
✗ 2. 誤り
3~5週
骨の癒合を待つ期間としてはあり得る長さですが、本例は画像で骨折が否定された腱性マレット指です。腱の修復には不足しやすく、標準とされる6〜8週には届きません。
✗ 4. 誤り
9〜10週
必要以上に長い連続固定は、DIP関節の拘縮や固定部の皮膚障害を招きます。まず標準の6〜8週で固定し、経過をみて伸展不全が残る場合に夜間固定の延長などで対応するほうが合理的です。
ポイント
  • DIP関節が屈曲位+自動伸展不能=終止腱断裂(マレット指)。まずこの形を覚える。
  • 骨折がない腱性マレット指の固定期間は6〜8週。DIP関節は伸展位(軽度過伸展まで)。
  • PIP関節は固定に含めず動かせるようにして拘縮を防ぐ。
  • 固定期間の見通しと「自分では外さない・外れたらすぐ連絡」を最初に説明しておくのが実務上の要点。
  • 固定終了後も夜間固定を数週続けて段階的に離脱すると、伸展ラグの残存を減らせる。
比較表
腱性マレット指(本例)骨性マレット指
病態終止腱そのものの断裂末節骨基部背側の裂離骨折
画像所見骨折なし背側に骨片
固定肢位DIP関節伸展位(PIPは自由)DIP関節伸展位
固定期間の目安6〜8週骨癒合に応じて短め。転位が大きければ観血的療法(医師へ)
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