学習トップ理由で解く 柔道整復師柔道整復理論 ▸ §24 臨床実地問題 / QJ32P110

理由で解く 柔道整復師

QJ32P110 柔道整復理論

出典:第32回柔道整復師国家試験(2024)午後 問110
問題
10歳の女児。ソフトボールで捕球した際、右手小指が外転強制された。右第5MP 関節の腫脹と、基節骨基部に限局性の圧痛がみられる。MP 関節伸展では小指は外転位をとり環指から離れている。DIP およびPIP 関節に異常はなかった。考えられるのはどれか。
選択肢
1 MP 関節捻挫
2 中手骨骨頭骨折
3 中手骨頸部骨折
4 基節骨骨端線離開
解答
正解4(基節骨骨端線離開)
解説

10歳という年齢、小指の外転強制、そして圧痛が第5基節骨基部に限局するという3点から、基節骨近位の骨端線離開を考えます。

骨端線(成長軟骨層)が開いている小児では、関節周囲に外力が加わったとき、靱帯より先に骨端線が破綻します。つまり同じ「指を横に曲げられた」外力でも、成人なら側副靱帯損傷(捻挫)、小児なら骨端線離開になりやすいということです。本例は圧痛が関節裂隙ではなく基節骨基部=近位骨端部に限局しており、MP関節を伸展させると小指が外転位のまま環指から離れる。これは基部での転位が残っていることを示す所見です。DIP・PIP関節に異常がないので、損傷はMP関節高位に限られます。骨端線損傷は成長障害を残す可能性があるので、疑った時点で応急固定を行い、医師の画像評価につなぎます。

✓ 4. 正しい
基節骨骨端線離開
骨端線閉鎖前の小児では、側方への強制力は靱帯ではなく骨端線に集中します。指骨の骨端線は基節骨・中節骨・末節骨とも近位側にあるため、圧痛は「基節骨基部」に一致します。伸展させても小指が外転位に残るのは骨片の転位を反映した所見で、Salter-Harris分類のⅡ型(骨幹端の三角骨片を伴う型)が代表的です。
✗ 1. 誤り
MP 関節捻挫
同じ機序でも、成人であれば側副靱帯損傷(捻挫)になります。しかし10歳では靱帯より骨端線のほうが弱いため、まず骨端線離開を考えます。所見の面でも、捻挫なら圧痛の中心は関節裂隙(側副靱帯の走行部)にくるはずで、基節骨基部に限局している点が合いません。
✗ 2. 誤り
中手骨骨頭骨折
中手骨頭はMP関節の近位側を構成するので、骨折すれば圧痛は中手骨頭に出ます。本例の圧痛は関節をはさんで遠位の基節骨基部であり、部位が一致しません。骨頭骨折は軸圧や直達外力によることが多く、側方への外転強制という機序とも合いません。
✗ 3. 誤り
中手骨頸部骨折
第5中手骨頸部骨折は拳で殴打した際に生じる代表的な骨折です。骨頭が掌側に傾く屈曲転位をとるため、握ったときの中手骨頭の隆起が低くなり、圧痛は骨頭のすぐ近位に出ます。外転強制で基節骨基部に圧痛という本例の所見とは、機序も部位も異なります。
ポイント
  • 骨端線閉鎖前の小児では「靱帯より骨端線が弱い」。成人の捻挫=小児の骨端線離開と置き換えて考える。
  • 指骨の骨端線は近位側にある。だから圧痛は基節骨「基部」に出る。
  • 伸展させても外転位が残る=骨片の転位を示す所見。単なる疼痛回避肢位ではない。
  • DIP・PIPに異常なし=損傷高位はMP関節周辺に限局。
  • 骨端線損傷は成長障害の可能性があるため、応急固定のうえ医師の画像評価につなぐ。
比較表
同じ「指の側方強制」でも小児(骨端線閉鎖前)成人
最も壊れやすい部位骨端線(成長軟骨層)側副靱帯
起こる損傷骨端線離開MP関節捻挫(側副靱帯損傷)
圧痛の中心基節骨基部関節裂隙(靱帯の走行部)
注意点成長障害の可能性、医師の画像評価動揺性の評価、固定肢位
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