学習トップ理由で解く 柔道整復師柔道整復理論 ▸ §24 臨床実地問題 / QJ32P109

理由で解く 柔道整復師

QJ32P109 柔道整復理論

出典:第32回柔道整復師国家試験(2024)午後 問109
問題
36歳の女性。4時間前にスノーボードで転倒し右手を衝いて受傷した。来所するまで特に処置は受けていない。来所時の写真(別冊 No. 3)を別に示す。手指の動きは良好で、感覚障害はみられない。当日の施術で誤っているのはどれか。
図
選択肢
1 診断の確定に超音波画像を用いる。
2 患肢の挙上を指示する。
3 患部を金属副子、厚紙と包帯にて固定を行う。
4 しびれが増悪した際には固定を外すよう説明する。
解答
正解1(診断の確定に超音波画像を用いる。)
解説

「誤っているのはどれか」を問う設問。骨折・脱臼を含む外傷の診断を確定させるのは医師の役割であり、超音波画像観察装置を確定診断の手段として位置づけている選択肢1が答えとなる。

スノーボードで転倒して手を衝いた手関節部の外傷では、橈骨遠位端骨折をはじめとする骨折を念頭に置いて対応する。柔道整復師が単独で行えるのは応急手当としての整復・固定までであり、骨折・脱臼の後療は医師の同意を得たうえで行う。エックス線などの画像を含めた確定診断は医師が担う。超音波画像観察装置は、施術部位の状態を観察して固定の適否や経過を確認するための補助手段として用いるものであって、これで診断を確定させる位置づけではない。受傷から4時間で医療機関を受診しておらず、手指の運動・感覚は保たれている本例では、腫脹の増悪を見越した固定と患肢挙上を行い、循環・神経障害の兆候を具体的に説明したうえで、速やかに整形外科の受診を勧めるのが当日の適切な流れである。

✓ 1. これが「誤っている」=設問の答え
診断の確定に超音波画像を用いる。
確定診断は医師が画像診断などを踏まえて行うものであり、柔道整復師が超音波画像で診断を確定させるという位置づけは適切でない。超音波は患部の状態把握や固定の確認といった補助として活用し、当日は応急固定を施したうえで医療機関の受診につなげる。
✗ 2. 適切な対応(設問の答えではない)
患肢の挙上を指示する。
患部を心臓より高く保つと静脈還流とリンパの還流が促され、腫脹と疼痛の増悪を抑えられる。受傷当日の基本的な指導として適切である。
✗ 3. 適切な対応(設問の答えではない)
患部を金属副子、厚紙と包帯にて固定を行う。
受傷当日は腫脹が進むため、局所の安静を保ちながら締めつけを調節できる副子固定が適する。金属副子や厚紙副子と包帯の組合せは、応急固定として妥当な選択である。
✗ 4. 適切な指導(設問の答えではない)
しびれが増悪した際には固定を外すよう説明する。
腫脹の増大による循環障害・神経障害(フォルクマン拘縮など)を防ぐための重要な説明である。しびれ・強い痛み・指の色調変化があれば固定を緩めたうえで連絡し、再来所または医療機関を受診するところまで具体的に伝えると、より確実な指導になる。
ポイント
  • 確定診断は医師の役割。柔道整復師は応急手当としての整復・固定と、医師の同意を得た施術を担う。
  • 骨折・脱臼の患部への施術は、応急手当を除き医師の同意が必要(柔道整復師法第17条)。後療は同意を得てから行う。
  • 超音波画像観察装置は患部の状態把握や固定の確認に用いる補助手段であり、診断確定の手段ではない。
  • 手をついて受傷した手関節部の外傷では骨折を念頭に置き、応急固定のうえ速やかに医療機関を勧める。
  • 受傷当日の基本=安静・冷却・圧迫・挙上と、調節できる副子固定。固定後は循環・神経障害の兆候(しびれ・強い痛み・色調変化)と、その際の行動まで具体的に説明する。
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