学習トップ理由で解く 柔道整復師柔道整復理論 ▸ §24 臨床実地問題 / QJ32P111

理由で解く 柔道整復師

QJ32P111 柔道整復理論

出典:第32回柔道整復師国家試験(2024)午後 問111
問題
36歳の女性。2週前にオートバイで転倒し、右肩部を強打した。以来、肩部の疼痛を自覚している。特に右側臥位での夜間痛が著明である。肩関節外転が他動では可能であるが、自動では60度位に制限されている。考えられる疾患はどれか。
選択肢
1 五十肩
2 腱板損傷
3 肩関節脱臼
4 上腕骨外科頸骨折
解答
正解2(腱板損傷)
解説

他動では外転できるのに自動では60度までしか挙げられない、という「自動と他動の解離」は腱板損傷の典型像。外傷歴と夜間痛もこれを裏づける。

腱板(棘上筋など)が断裂すると、骨頭を関節窩に引きつけて挙上の支点をつくる働きと、三角筋の力を上腕骨に伝える経路が破綻するため、自動での外転ができなくなる。一方で関節包や関節面そのものは保たれているので、他動では動かせるのが特徴である。転倒などの外傷が契機となり、患側を下にすると疼痛が増す夜間痛、外転60〜120度で痛みが出る有痛弧徴候、他動で挙げた腕を保持できず落ちてしまうドロップアームサインがみられる。放置すると拘縮が加わって他動制限まで出てしまうため、疼痛管理をしながら肩甲胸郭関節と三角筋の機能を落とさない範囲で運動を続け、断裂の程度を評価するために医療機関の受診を勧める。

✗ 1. 誤り
五十肩
肩関節周囲炎は関節包の炎症と拘縮が本態で、自動・他動ともに可動域が制限される。明らかな外傷契機なく中年以降に発症するのが典型で、他動が保たれている本例とは合わない。
✓ 2. 正しい
腱板損傷
外傷歴、患側を下にしたときに強まる夜間痛、他動可能で自動のみ制限という所見がそろい、腱板損傷に合致する。有痛弧徴候やドロップアームサインを確認して裏づける。
✗ 3. 誤り
肩関節脱臼
脱臼していれば弾発性固定により他動運動も強く制限され、肩峰下の陥凹や三角筋部の膨隆消失といった明らかな変形を呈する。2週間そのまま経過するという状況も考えにくい。
✗ 4. 誤り
上腕骨外科頸骨折
受傷直後から高度の腫脹と皮下出血、限局性圧痛、異常可動性や軋轢音を伴い、他動運動でも激痛のため動かせない。自動運動のみが制限されるという本例の所見と合わない。
ポイント
  • 腱板損傷の核心=自動挙上は不能でも他動可動域は保たれる(自動と他動の解離)。
  • 夜間痛が強く、患側を下にした側臥位で増悪する。
  • 有痛弧徴候(外転60〜120度で疼痛)、ドロップアームサインを確認する。
  • 五十肩は他動でも制限される点が決定的な違い。外傷歴の有無も手掛かり。
  • 骨折・脱臼は他動運動でも高度に制限され、変形や軋轢音など他覚所見を伴う。
比較表
自動運動他動運動特徴的な所見
腱板損傷制限(挙上できない)可能夜間痛、有痛弧徴候、ドロップアームサイン
五十肩制限制限(拘縮)明らかな外傷契機がなく中年以降に発症
肩関節脱臼不能弾発性固定で不能肩峰下の陥凹、三角筋部の膨隆消失
上腕骨外科頸骨折不能激痛で不能高度腫脹・皮下出血、限局性圧痛、軋轢音
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