学習トップ理由で解く 柔道整復師柔道整復理論 ▸ §19 各論(脱臼) 上肢 / QJ32P090

理由で解く 柔道整復師

QJ32P090 柔道整復理論

出典:第32回柔道整復師国家試験(2024)午後 問90
問題
月状骨脱臼で正しいのはどれか。
選択肢
1 腫脹は軽度である。
2 手関節は尺屈位をとる。
3 月状骨は有頭骨の背側に位置する。
4 月状骨と橈骨は正常の位置を維持する。
解答
正解2(手関節は尺屈位をとる。)
解説

月状骨脱臼では月状骨だけが掌側へ抜け、手関節は軽度屈曲・尺屈位をとる。答えは2。

受傷機序は手関節の過背屈(手をついて転倒)で、月状骨が橈骨月状骨窩から押し出されて掌側へ転位する。掌側に飛び出した月状骨は手根管の中に居座るため、手関節前面は膨隆して腫脹が強く、正中神経が圧迫されて母指~環指橈側のしびれを生じやすい。外観は手指が軽度屈曲し、手関節は軽度屈曲かつ尺屈位をとる。「どの骨が動いたか」を押さえると、月状骨周囲脱臼との区別が一気に楽になる。

✓ 2. 正しい
手関節は尺屈位をとる。
月状骨が掌側へ逸脱した結果、手関節は軽度屈曲・尺屈位をとり、手指も軽度屈曲位となる。自動運動は強く制限される。
✗ 1. 誤り
腫脹は軽度である。
掌側へ脱出した月状骨が手関節前面を押し上げるため腫脹は著明で、前面の膨隆として触知できる。手根管内圧が上がるので、正中神経症状の有無を必ず確認する。
✗ 3. 誤り
月状骨は有頭骨の背側に位置する。
方向が逆で、月状骨は有頭骨の掌側へ転位する。背側に抜けるのではなく、掌側(手根管側)に落ち込む点が本症の要である。
✗ 4. 誤り
月状骨と橈骨は正常の位置を維持する。
これは月状骨周囲脱臼の説明。月状骨脱臼では月状骨が橈骨月状骨窩から外れる。両者は正反対の関係なので、対にして覚える。
ポイント
  • 機序は手関節の過背屈。若年男性の高エネルギー外傷に多い。
  • 月状骨は掌側(手根管側)へ転位 → 掌側の腫脹著明、正中神経障害(母指~環指橈側のしびれ)に注意。
  • 肢位は手関節軽度屈曲・尺屈位、手指軽度屈曲位。
  • 月状骨脱臼=月状骨が橈骨から外れる/月状骨周囲脱臼=月状骨は橈骨に残り、有頭骨以下が背側へ動く。
  • 単純エックス線で見逃されやすく、陳旧化すると月状骨壊死や手根不安定症を残す。疑ったら早期に画像診断へつなぐ。
比較表
項目月状骨脱臼月状骨周囲脱臼
橈骨と月状骨の関係外れる(月状骨が掌側へ逸脱)保たれる
転位する骨月状骨のみ有頭骨以下の手根骨が背側へ
腫脹の主体手関節掌側(著明)手関節背側
正中神経症状出やすい(手根管が圧迫される)比較的少ない
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