学習トップ理由で解く 柔道整復師柔道整復理論 ▸ §19 各論(脱臼) 上肢 / QJ32P091

理由で解く 柔道整復師

QJ32P091 柔道整復理論

出典:第32回柔道整復師国家試験(2024)午後 問91
問題
第1中手指節関節の垂直脱臼で正しいのはどれか。
選択肢
1 IP 関節は伸展位になる。
2 尺側側副靱帯は断裂する。
3 MP 関節屈曲位で固定する。
4 固定期間は6週とする。
解答
正解3(MP 関節屈曲位で固定する。)
解説

母指MP関節の垂直脱臼は掌側板の断裂により基節骨が中手骨に対してほぼ直立するタイプ。整復後はMP関節を屈曲位に保ち、過伸展による再脱臼を防ぐ。

母指MP関節の背側脱臼は、突き指などの過伸展強制によって掌側板が中手骨頭側の付着部で断裂して起こる。基節骨が中手骨と垂直に立つものが垂直(直立)脱臼で、掌側板や種子骨が関節内に嵌入していないため徒手整復は比較的容易である。一方、基節骨が背側に倒れて中手骨と平行になる水平脱臼や、掌側板が中手骨頭の背側に乗り上げた複合脱臼では整復が困難になる。整復は基節骨基部を中手骨頭の関節面に沿わせて滑らせるように押し込むのが原則で、過伸展を加えたまま長軸に強く牽引すると軟部組織が関節内に引き込まれて整復困難になるため避ける。整復後はMP関節軽度屈曲位で3週間程度固定し、その後は可動域訓練へ移行する。

✗ 1. 誤り
IP 関節は伸展位になる。
母指MP関節背側脱臼では、MP関節が過伸展位をとり、IP関節は屈曲位となる特徴的な肢位を呈する。伸展位ではない。
✗ 2. 誤り
尺側側副靱帯は断裂する。
母指MP関節の尺側側副靱帯が損傷されるのは、母指が橈側へ強く外転させられて起こるスキーヤー母指(ゲームキーパー母指)である。垂直脱臼で主に破れるのは掌側板で、側副靱帯は保たれることが多い。
✓ 3. 正しい
MP 関節屈曲位で固定する。
断裂した掌側板の治癒を助け、過伸展位による再脱臼を防ぐため、整復後はMP関節を軽度屈曲位で固定する。この肢位が損傷組織を緩め、かつ関節面の適合を保つ。
✗ 4. 誤り
固定期間は6週とする。
固定期間は3週間程度が目安。手指の関節は長期固定で拘縮を起こしやすいため、必要期間が過ぎたら速やかに可動域訓練へ移し、当面は過伸展を避けるテーピングなどで保護する。
ポイント
  • 機序=MP関節の過伸展強制で掌側板が断裂し、基節骨が背側へ転位する。
  • 垂直(直立)脱臼=基節骨が中手骨に対し垂直に立つ。掌側板の嵌入がなく整復は比較的容易。
  • 肢位=MP関節は過伸展、IP関節は屈曲。
  • 整復は基節骨基部を関節面に沿わせて押し込む。過伸展位のまま強く牽引しない。
  • 固定はMP関節軽度屈曲位で約3週間。以後は可動域訓練へ。
比較表
垂直(直立)脱臼水平脱臼・複合脱臼
基節骨の位置中手骨に対しほぼ垂直に立つ背側に倒れて中手骨と平行になる
掌側板断裂するが関節内に嵌入しない中手骨頭の背側に乗り上げ嵌入する
整復比較的容易困難。観血療法となることがある
注意点過伸展位での強い牽引は嵌入を招くため行わない
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